個人事業主が事業をするにあたり、開業時、事業拡大時、運転資金不足時など、融資を受けたい場面が出てくるでしょう。銀行融資というと、法人しか受けられないというイメージがある方もいるかもしれません。しかし個人事業主であっても、銀行融資は受けられます。
この記事では、個人事業主が銀行融資を受ける際の必要書類、成功させるためのポイントなどを解説します。法人と異なり、個人特有の注意点もあるので、確認してみてください。
個人事業主が銀行融資を受ける際の必要書類
事業主本人や銀行の状況によって異なりますが、一般的に以下の書類が必要になります。
- 本人確認書類
- 確定申告書、決算書(まだ事業を開始していない時は給与明細など)
- 決算書を補足するための資料(試算表や資産の内訳明細など)
- 事業計画書
- 資金繰り表
- 開業届
このほか、状況によって事業を説明する補足資料などが適宜求められます。
個人事業主が注意したい点は「開業届」です。開業届は事業開始から1ヶ月以内に税務署に提出する必要がありますが、特に罰則がありません。このため、青色申告をしていない場合は稀に提出していないことも考えられます。この場合、速やかに提出しましょう。
銀行融資の審査 | 一般的なポイント
銀行融資は他の資金調達方法に比べて比較的金利が低く、まとまった資金が得られる点がメリットです。ただしメリットがある一方で、融資を受けるには銀行の審査に通る必要があります。
審査基準は明確に公表されておらず「絶対にこれはダメ」という判断基準はありません。一般的には主に以下の点が確認されます。
- 返済可能性があるかどうか(返済計画が適正か)
- 融資の使い道が適正であるかどうか(私用や投機目的でないか)
- 経営者の人柄、経営方針(不正をしたり、利益をあげる努力を怠っていたりしないか)
融資を受けられるかは、銀行に「上記のポイントをクリアできる」と信用してもらえるかどうかにかかっています。この点、法人であっても個人事業主であっても、特に異なる点はありません。
特に必要書類の中のひとつである「事業計画書」は、返済計画の実現可能性や資金の必要性を確認する重要な判断資料です。銀行に納得してもらえるような、実現可能かつ、しっかりと説明できるものを作成しましょう。
「個人事業主」が銀行融資を受ける際に注意したいポイント
法人と異なり、個人事業主が銀行融資を受ける際に注意したい特有のポイントは以下のとおりです。
- いわゆるブラックリストにのっていないか
- 所得がマイナスでないかどうか
それぞれ説明します。
1.いわゆるブラックリストにのっていないか
信用情報に問題があると、銀行融資は限りなく厳しくなる傾向にあります。
2.所得がマイナスでないかどうか
個人の申告書・決算書の最終数値は「利益」ではなく「所得」です。所得で生活費を賄うため、この段階でマイナスであると生活もできない状態と判断され、融資は厳しくなるでしょう。
どこの銀行を選ぶ?融資の種類は?
融資を申し込みする場合、どの銀行にどの融資を依頼すればよいでしょうか。それぞれ説明します。
銀行はメインバンクを選ぼう
たくさんの銀行に同時に申し込みをしようと考える方もいるかもしれません。しかし、銀行とは長い付き合いになる可能性もあります。メインバンクとしたい銀行を決めて申し込みをしましょう。
銀行には、信用金庫や信用組合も含まれます。信用金庫は個人事業主や中小企業が主な取引先であり、さまざまな相談にのってくれる傾向にあります。
ただし、特に開業時は日本政策金融公庫の制度利用もおすすめです。日本政策金融公庫は創業融資に力を入れており、創業時に利用しやすい制度があります。
民間金融機関の融資の種類
信用保証付き融資とプロパー融資があります。プロパー融資は、銀行が直接審査をする融資です。
一方で信用保証付き融資は、信用保証協会が保証してくれる融資です。保証料がかかりますがプロパーよりも融資がおりやすくなります。信用保証付き融資にも種類があるため、融資の際には詳しく検討しましょう。
まとめ | 税理士へ相談するとスムーズです
以上、個人事業主が「銀行融資」を受ける際の必要書類、融資を受ける際のポイントなどを紹介しました。
まとめると、個人事業主が融資を受ける場合、主に下記を検討することになるでしょう。
- 日本政策金融公庫の融資
- 民間金融機関(銀行・信用金庫)の信用保証付き融資
- 民間金融機関(銀行・信用金庫)のプロパー融資
それぞれの特徴を把握して検討してみてください。ただしプロパー融資は審査が一番厳しくなります。
税理士は事業計画作成や銀行への説明など、審査のポイントを把握した上で金融機関対応を支援します。また、創業時の手続きやその後の事業活動も、顧問契約により支援が可能です。
融資をスムーズに受けたい方、金融機関対応に不安がある方、融資後の事業活動も支援して欲しい方などは、税理士への相談をおすすめします。
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