会社員として働いていると会社の方で年末調整が行われ、基本的に確定申告の必要がありません。(副業をしていたり不動産賃貸を行っている場合など、確定申告が必要となるケースもありますが…)そのため、税金について知る機会は少ないでしょう。近年ではふるさと納税を利用する人が増えていることもあり、税金に接する機会も増えてきているように感じます。
というものの、相続の機会があったりと大きなライフイベントがない限り、会社員の方が税金に関する勉強をしたくなることはあまりないでしょう。しかし、資本主義を採用する日本社会では、投資家や事業家に比べて会社員が税金を多めに払う仕組みとなっています。会社員こそ税金の勉強が必要なのです。
会社員は給与の3分の2程度しか手元に残らない
この世の中でのお金の稼ぎ方をざっくり分類すると、自分で事業を立ち上げる(実業家)と投資でお金を得る(投資家)、そして会社で働く(会社員)の3種類です。それぞれのお金の稼ぎ方によってどのくらい税金がかかるかが変わります。
まずは自分で事業を立ち上げる実業家の場合、会社を起業することになりますので、法人税がかかります。実業家が払う税金は、法人税の23.2%と住民税の10%ほどです。合わせると33%程度が税金として引かれます。法人税は会社の資本金や形態ごとに変わりますが、おおよそ利益に対して一定の税率が課されます。
そして投資でお金を得る投資家の場合は、投資で得た利益に対して「譲渡益課税」と「配当課税」という税金が課されます。どちらも税率は20.315%となり、住民税の10%ほどと合わせて30%程度が税金として引かれます。どれだけ利益を得ても税率は20.315%のままとなります。
最後に会社員の場合は、稼いだ分だけ給料に所得税が課されます。その最低税率は5%となり、4,000万円以上稼いでいると45%となります。さらにそこに10%の住民税がかかるので半分以上が税金として引かれます。よく芸能人やスポーツ選手が寄付をするニュースを耳にしますが、所得から寄附金を控除できるので税金対策として利用されているのでしょう。また、大体の会社員の年収のレンジである300万円〜800万円前後だと、所得税は20%〜23%の税率となります。
ここからもわかる通り、実業家や投資家はいくら稼いでも税率がほぼ変わらない一方で、会社員の場合は稼げば稼ぐほど税金が引かれてしまいます。それゆえ、ふるさと納税や様々な控除を知って税金を理解することが不可欠です。
なぜ実業家、投資家、会社員で納める税金に違いがあるのか?
先ほどは実業家と投資家、会社員で納める税金の税率に違いがあることを説明しました。実業家や投資家はどれだけ稼いだとしても税率はほぼ一定です。しかし、会社員の場合は稼げば稼ぐほど税率が高くなります。この構造は会社員にとって不利といえるでしょう。
では、なぜそのような違いが生まれてしまったのか。それは資本主義の構造と関係します。資本主義は基本的にピラミッド構造となっており、上から資本家、投資家、実業家(経営者)、会社員(労働者)と分類されます。資本家と投資家は自分で稼がなくてもお金によって稼いでいる人たちで、実業家と会社員は自分自身が稼いでいる人たちを指します。新卒で会社に入った際、初めての給与明細を見て「こんなに働いているのになぜこれっぽちしかか手取りがないんだ!?」と嘆いたことがある方もいらっしゃるでしょう。資本主義のピラミッドの中では会社員が一番下なのです。そのような資本主義の構造が税制にも影響しています。
会社員の節税対策の具体例
では、資本主義社会のなかで会社員が不利である現状を変える具体例は何なのでしょうか?起業して経営者の立場になることがその一例でしょう。しかし、起業するには時間や労力が必要です。
会社員をしながら節税する手段としては、医療費控除や扶養控除などの各種控除の利用やふるさと納税が挙げられます。またNISAやiDeCoを利用することも大事です。その他には自分で副業を始めるのも手です。収入アップだけでなく、独立の準備にもなります。また、好きなことで副業をして、やがてそれで独立できれば「好きなことで稼ぐ」といった状態になります。(必ずしも好きなことで稼ぐのは楽ではありませんが…)
資本主義の仕組みを知って自分の働き方を模索しよう
資本主義社会のなかでは会社員が不利な立場となってしまいます。物価高になり、これからも様々な税金が高くなるであろうなか、自分自身の働き方を模索することが大切です。
会社員として働くのが楽しい方もいらっしゃるでしょう。また、自分の好きなことで起業するのも良いでしょう。FIREも念頭に入れている方もいらっしゃるでしょう。昔に比べて生き方も多様になっただけに稼ぎ方も多様になっています。しかし、どのような稼ぎ方を選んだとしても自分自身を取り巻く最低限の税金に関しては興味を持っておきましょう。そして、NISAやiDeCo、ふるさと納税といった新しい制度に関しては、複雑だから後回しにするのではなく、積極的に興味を持つことが節税対策の一歩です。
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