事業継承の補助金に関する基礎知識を解説!申請方法を理解しておこう

みらい会計

「事業継承の補助金はどのような制度なの?」

「どのように申請すれば良いの?」

事業継承の補助金利用を検討している人には、このように考えている人もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、事業継承に関する基礎知識や申請方法を解説しています。

事業継承の補助金利用を検討している人にとって有益な情報を記載していますので、ぜひ最後までご覧ください。

事業継承の補助金に関する基礎知識

事業継承の補助金に関する基礎知識

多くの中堅企業や中小企業は、事業継承についての悩みを抱えています。誰を後継者に選び、事業を引き継ぐかという経営課題は、多くの企業が直面している問題です。

このような課題に対処し、事業再編や事業統合による経営資源の引き継ぎをサポートするための制度が、事業継承の補助金制度です。事業継承の補助金制度では、中小企業が事業継承や経営資源の引き継ぎに必要な費用の一部を補助しています。

経営革新型

【Ⅰ型】創業支援型

【Ⅰ型】創業支援型は、個人が事業を終了する際に有機的に結びついた経営資源を引き継いで、中小企業や小規模事業者を支援する制度です。この経営資源には従業員、施設、店舗などの資産だけでなく、販路や顧客も含まれます。

事業譲渡や株式譲渡を通じてこれらの経営資源を引き継ぎ、新しい事業を興す場合が対象です。

具体例として、不動産賃貸業者が後継者不足のために廃業を考えている場合を例に挙げると、この制度を利用して経営資源である不動産や従業員を引き継ぎ新しい不動産賃貸事業を始めることが可能です。

ただし、単に投資用マンションを購入して不動産賃貸業を始める場合は、有機的な経営資源を引き継いでいないため、この制度の対象外となります。

【Ⅰ型】創業支援型に該当するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

1.事業承継対象期間内における法人(中小企業者)設立、又は個人事業主としての開業
2.創業にあたって、廃業を予定している者等から、株式譲渡、事業譲渡等により、有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)の引き継ぎ
※設備のみを引き継ぐ等、個別の経営資源のみを引き継ぐ場合は原則該当しない
引用:事業承継・引継ぎ補助金

この制度は、経営者が後継者を見つけられずに事業を終了させざるを得ない場合でも、経営資源を有効活用することで新たな事業を始めるチャンスを提供します。産業振興や地域活性化に貢献する一方で、個人の再起を支援する重要な制度と言えるでしょう。

【Ⅱ型】経営者交代型

【Ⅱ型】経営者交代型は、中小企業者を対象とした事業継承の支援制度で、以下の2つの要件を全て満たす人が対象の制度です。

1.親族内承継や従業員承継等の事業承継(事業再生を伴うものを含む)。
2.産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること。
引用:事業承継・引継ぎ補助金

なお、【Ⅱ型】経営者交代型の補助対象になるためには、代表者が交代した期間や承継者の経営経験、新事業展開などの要件や生産性向上要件も満たす必要があります。補助対象となる具体的な条件や支援内容は、事業継承・引継ぎ補助金のウェブサイトで確認することが大切です。

この制度は、経営者交代によって事業の持続と発展を支援し、地域経済の活性化に寄与することを目的としています。経営者交代は企業の未来を担う重要な局面であり、適切な支援が行われることで地域経済全体の活性化に寄与することが期待されます。

中小企業者や事業継承を検討する個人にとって、この制度を有効活用することで経営の成功に繋がるでしょう。

【Ⅲ型】M&A型

【Ⅲ型】M&A型は、事業再編や事業統合を行う中小企業者を支援する補助制度で、以下の3つの要件を全て満たす人が対象の制度です。

1.事業再編・事業統合等のM&A
2.産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者であること
※ 経営者交代型(Ⅱ型)における承継者が法人の場合、事業譲渡や株式譲渡等による承継は原則として対象とならない
※ 創業支援型(Ⅰ型)、M&A型(Ⅲ型)ともに、物品・不動産等のみを保有する事業の承継(売買含む)は対象とならない
引用:事業承継・引継ぎ補助金

【Ⅲ型】M&A型に該当する場合でも、事業再編や事業統合の時期や承継者の経営経験、新事業展開などの要件や生産性向上要件を満たす必要があります。経営革新コースでは、補助対象経費の3分の2以内で補助が行われ、補助の下限は100万円です。

上限額も設定されており、【Ⅰ型】創業支援型や【Ⅱ型】経営者交代型の補助上限は400万円以内ですが、【Ⅲ型】M&A型では800万円までの補助が可能です。また、廃業に関連する費用として200万円の追加補助を受けられる可能性もありますが、補助対象となる費用の範囲はそれぞれ異なるため、具体的な条件を確認する必要があります。

M&A型の制度を利用する際には、補助対象となる費用や補助額について詳細に理解することが重要です。

専門家活用型

【Ⅰ型】買い手支援型

【Ⅰ型】買い手支援型は、事業再編や事業統合などによって経営資源の譲渡を予定している中小企業者などが該当する支援制度で、以下の2つの要件を全て満たす人が対象です。

・事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること。
・事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること。
引用:事業承継・引継ぎ補助金

この制度を利用する中小企業者は、譲渡によって得た経営資源を戦略的に活用し、新たなビジネスチャンスを見出すことで成長を促進できるメリットがあります。地域社会への貢献を念頭においた事業戦略を展開することで、地域経済の発展と持続可能な成長を達成することが期待されます。

譲渡後の経営革新と地域社会への影響を熟考することが、買い手支援型の成功に不可欠と言えるでしょう。

【Ⅱ型】売り手支援型

【Ⅱ型】売り手支援型は、事業再編や事業統合などによって自社が保有する経営資源を譲渡する予定の中小企業者などが該当する支援制度で、以下の要件を満たす人が対象です。

地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること。
引用:事業承継・引継ぎ補助金

売り手支援型を活用する企業は自社の事業を譲渡する際に、売却される事業が地域社会にとって重要であることを考慮し、適切な第三者に受け継がれることを重視します。売却される事業の継続性や地域の雇用に対する影響を考慮することで、事業の譲渡が円滑に進み、地域経済の発展に寄与することが期待されます。

売り手支援型は事業の譲渡において、買い手側だけでなく売り手側も地域社会の視点を持ちながら、戦略的な経営判断を行う必要がある支援制度です。

廃業・再チャレンジ事業

廃業・再チャレンジ事業は、中小企業者などが廃業や再出発を行う際にサポートする支援事業です。

申請方法には、経営革新事業/専門家活用事業と併用する「併用申請」と、廃業・再チャレンジ事業単独で申請する「再チャレンジ申請」の2つがあり、それぞれに異なる要件が存在します。

併用申請の場合は、事業継承・M&Aまたは廃業が補助事業期間内に完了、再チャレンジ申請の場合は補助事業期間中に廃業を完了していることが要件として挙げられます。要件を知りたい人は、令和3年度 補正予算 事業承継・引継ぎ補助金「事業承継・引継ぎ補助金 廃業・再チャレンジ」を確認してください。

併用申請は経営革新事業/専門家活用事業の申請手続きと一緒に行うので、別で廃業・再チャレンジ事業として申請する必要はありません。廃業や事業の再出発は、経営上の重要な判断を伴うものであり、適切なサポートが必要です。

補助事業を活用することで、廃業や再出発に伴う経済的な負担を軽減し、新たなビジネス展開に向けた一歩を踏み出すことが期待できるでしょう。

事業継承の補助金の申請方法を解説

事業継承の補助金の申請方法を解説

事業継承の補助金に関する基礎知識を解説しましたが、どのような手順で申請を進めれば良いのでしょうか。具体的な5つのステップに分けて、それぞれ詳しく解説します。

補助金の対象となる事業を確認する

事業継承・引継ぎ補助金を利用する際は、公式のWEBサイトを活用して補助対象の事業に該当するかを確認しましょう。公式のWEBサイトでは、補助対象となる事業や申請に関する詳細な情報が公開されており、公募要領も確認できます。

公募要領には補助対象となる事業や申請の条件、補助金の支給額などが記載されているため、ご自身の事業が補助金の対象になるかどうかを把握できるでしょう。WEBサイトの公募要領の内容から、補助対象となる事業やご自身の申請類型について理解を深めることが大切です。

補助対象になるかを検討する際にはWEBサイトの情報だけでなく、関連する相談窓口や専門家のアドバイスも活用するのがおすすめです。事業継承の補助金は中小企業の成長や持続的な発展を支援する重要な制度であるため、情報収集をしっかり行い有効に活用していきましょう。

gBizIDプライムのアカウントを発行する

補助申請が決定したら、gBizIDプライムのアカウントを取得する必要があります。アカウントの取得には2~3週間かかる場合があるため、計画的に行うことが重要です。

すでにgBizIDプライムを取得している場合は、jGrantsを利用して電子申請に進みます。どちらも無料で利用できるため、補助金の申請を検討中でも早めに申し込んでおきましょう。

gBizIDプライムのアカウントを取得するのに必要な書類は、以下の通りです。

  • スマートフォンもしくは携帯電話
  • 印鑑証明書と登録印
  • メールアドレス

アカウントを取得するには「gBizID」のホームページでダウンロードした申請書と印鑑証明書を「GビズID運用センター」に送付します。承認されるとメールが届くので、メールから手続きを進めるとアカウントの取得ができます。

gBizIDで交付申請をする

gBizIDを取得したら、jGrantsを利用して電子申請によって交付申請を行いましょう。申請手続きをスムーズに進めるためには、必要な書類を事前に揃えておくことが大切です。

jGrantsを利用して電子申請を行うことで、補助金の交付申請をオンライン上で行うことができます。gBizIDを取得していることが前提となりますが、オンライン申請によって手続きの効率化や迅速な審査結果の通知が期待できるでしょう。

審査の結果は中小企業庁や事務局のホームページで公表される場合があります。また、jGrants上でも採否結果の通知が行われるため、こまめに確認しましょう。

補助金の対象となる事業を実施して実績を報告する

交付決定通知を受けたら、補助金の対象となる事業を開始します。事業を開始したら、所定の手続きに則って実績を報告しましょう。

ただし、補助金の対象事業の期間内に契約や支払いを行うことが重要で、事業期間外に行われた契約や支払いは補助対象経費として認められません。また、相見積もりを取ることも重要です。

補助対象経費として認められるためには、相見積もりを取って最適なものを選定する必要があるため、適正な価格で契約をしましょう。

補助金を受け取る

補助金の交付については、補助対象事業の完了後に実績報告を行う必要があります。実績報告書等を提出し、事業内容の検査と経費内容の確認が行われ、補助金の額が事務局にて確定され、精算が行われます。

経営革新の場合は、さらに事業化状況報告と収益状況報告も実施しなければなりません。また、実績報告の遅れや不備があると補助金の交付が遅れる場合があるため、余裕を持って早めに報告手続きを行うことが重要です。

まとめ

まとめ

本記事では、事業継承に関する基礎知識や申請方法を解説しました。補助金の交付後は、事業の成果や収益の状況をしっかり把握し、経営の改善や成長につなげることが重要です。公的支援を有効活用して、持続可能な事業の発展を目指しましょう。

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