会社を設立するにあたって「今日から会社を始めます!」といった形でいきなり会社を始めることはできません。国が定めている方法で、会社を設立する手順に従ってさまざまな書類を準備したり、どのような会社を経営するか決める必要があります。
このように会社を登録することを「会社登記」といいます。法律で義務付けられており、必ずやらなければならないことです。ここでは、会社経営者や起業家にとって必須の会社設立から登記までの一連のフローについて紹介します。
会社登記とは
会社登記とは、会社の事業や名称、所在地、代表者名など、会社に必要な情報を法務局に登録することです。登記を行うことによって、初めて会社は法人格があると見なされます。登記をすることでビジネス上の取引のしやすさなども上がり、社会的な信用を得やすくなります。
また、会社登記を行うことによって、法務局から正式に登記を行っている証拠となる登記事項証明書が発行されます。登記事項は一般人でも自由に閲覧できるので、ビジネスなどで企業情報を知る際に便利です。
なお、実体を偽って登記を行った場合には罰則として5年以下の懲役または50万円以下の罰金が処されるほか、登記を怠った場合にも罰則が適用されます。そのため、会社登記では偽って申請することは原則できません。
では、会社登記とはどのようなフローで行うのでしょうか?会社を始めるにあたって、会社登記だけでなくその前に会社設立をしなければなりません。会社設立の段階から順を追って説明いたします。なお、ここでは株式会社の場合について解説します。
会社設立の大まかな流れとは?
株式会社を設立する際には、まず発起人を決めなくてはなりません。発起人とは、会社設立にあたっての資本金の出資や定款の作成を行う人物をいいます。
次は会社に関わる重要事項を決めなくてはなりません。ここでの重要事項とは、会社の名称や所在地、事業内容、出資額、事業年度などです。そして、これらの情報をもとに定款を作成します。定款とは会社のルールのようなもので、会社設立にあたって非常に大切です。
公証人より定款が法令上問題がないかチェックを受けて認証を受ける必要があります。その後、発起人は引き受けた株数に相当する金額を資本金(出資金)として銀行口座に払い込みます。
出資金は現金でも有価証券や車といった現物でも構いませんが、大切なのはその際に証明書を作成することです。その証明書には会社印が必要なため、事前に印鑑を作っておきましょう。また、現金を銀行口座に振り込む場合は、まだ会社登記が済んでいないために会社の口座ではなく個人の銀行口座となる点に注意しておきましょう。
これらのフローが完了したら、次は会社登記の申請となります。会社登記にあたっては、定款の他にも必要書類があります。全てを揃えたら法務局にて会社登記を行います。
会社登記の大まかな流れとは?
法務局で会社登記を申請する際には、会社設立で作成した定款の他に主に下記の書類が必要です。
- 登記申請書と登録免許税納付用台紙
- 別紙(OCR用紙)
- 印鑑届書
- その他の添付書類
(取締役の印鑑証明書、出資を証明する書類、設立時代表取締役選定書、役員の就任承諾書、発起人決定書など) - 登記事項を記録・保存した記録媒体(CD-Rなど)
登記申請書では、設立する会社の情報を記載します。会社設立にあたって定めた会社の基本情報が記載項目となります。登録免許税納付用台紙とは、会社の登記手続きにあたって必要な免許税を納付するために必要な書類です。
登録免許税として資本金に応じた金額を納付しなければなりません。また、別紙(OCR用紙)も登記申請書と同様に、登記する事項を書き込みます。そして、印鑑届出書は会社の実印を法務局に申請する書類です。個人の実印と同様に会社も法人格を持つために実印が必要です。
全ての書類を揃えたら、会社の所在地を管轄する法務局にて会社登記の申請を行います。法務局にて直接申請することも、郵送での申請もどちらも可能です。申請書類は法務局で審査され、内容に問題がなければ7〜10日程度で登記申請が完了し、会社登記を申請した日が会社設立日となります。
会社登記が終わった後の流れとは?
会社登記を済ませて無事に会社を設立した後にもまだやるべきことは残っています。そのひとつが税務署への届出です。
提出しなければならない書類が多いうえに、会社設立の日から1ヶ月以内に届け出なければならない書類もあるため早めに対応しましょう。郵送での提出もできますが、なかには税務署に書類が到着した日が提出日となることもあるので注意しましょう。
会社設立が決まったら早めの行動を
会社設立から登記にあたっては、大体1ヶ月程度の時間が必要です。定款を作成したり、資本金を振り込んだり、多くの書類を作成しなければならず、あっという間の1ヶ月となるでしょう。
また、会社登記が終わっても税務署での手続きなど、必要なことが沢山あります。このように会社設立においては相当なエネルギーを使うことが想定されます。ひとりで行うとなればなおさらです。会社を設立すると決めたのであれば、ひとつのフローに余計な体力・気力を注がず、集中して早めの行動を起こすことをおすすめします。
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