大企業だけの話ではない!税務調査の対象になりやすい企業とは?

税務情報

日々ニュースでは大企業の脱税問題が取り沙汰されています。また、ドラマでも「マルサ」と呼ばれる税務調査のプロが、現場に直接訪れて尋問するといった場面がみられます。「税務調査は自分の会社とは関係ないだろう。大企業とは規模が違うからほんの少しのことでもバレることはないだろう」と思われている経営者の方もいらっしゃるでしょう。

しかし、税務署員たちは税のプロだからこそ、日々さまざまな企業のお金の流れを把握しているのです。今回は企業(法人)の税務調査について、どのような調査が行われるのか?そして、どのような企業がその対象となりやすいのか?について解説します。

法人の税務調査ではどのようなことをするのか?

法人の税務調査ではどのようなことをするのか?

まず最初に、税務調査と聞くと大半の方がマルサ(国税局や国税庁の捜査部の俗称)のようなドラマに登場する国税庁の職員を連想するかと思います。相続税においてはマルサの登場するケースは少なく、具体的に「任意調査」と「強制調査」の2つの種類に分かれています。

任意調査とは、脱税の疑いのない場合に行われる調査のことです。任意調査においては、事前に税務署から連絡が入るため、ある日突然税務署の職員が来るといったシチュエーションにはなりません。調査は税務署員からの質問であったり、決算書などの確認、直接税務署員が事業所や店舗に赴くといった内容です。

一方で強制調査とは、明らかに脱税の疑いがある場合、いわゆるマルサのような国税庁査察部が担当する調査です。脱税の疑いがある納税者に対して裁判所の令状を持って調査がなされるので、悪質な脱税が行われていたり、多額の脱税を行っているケースに実行されます。文字通り強制調査では、納税者は調査を拒否することができない上に、納税に関する資料を国税庁の職員が押収する権利があります。ただし、余程のことでない限り相続税の税務調査は任意調査となります。

また、先ほどあげた任意調査と強制調査ではどちらも事前に連絡があるものの「無予告調査(現況調査)」という調査では、予告なしに税務署員が事業所や店舗に訪れて調査を行うケースもあります。とくに飲食店などの現金で商売を行っている場合が、この調査の対象となります。しかし、ほとんどの税務調査はあらかじめ税務署から連絡があるので、税務調査の前に税理士を通してどのようなことが聞かれるのか準備しておくと、不安なくスムーズに調査が進みます。

また、税務調査が入ったとしても過去3年分の調査で終わることが多く、もしその段階で税務署員が疑問に感じた際は5年、7年と年月を遡って調査します。逸脱した脱税など、明らかに重大な問題があると判断されているケースでも過去7年まで遡るようなので、10年〜数十年単位では調査は入らないようです。

税務調査が入りやすい企業の特徴

税務調査が入りやすい企業の特徴

税務調査は、大体4~5年に1度のペースで入ると言われています。なかにはこれまで税務調査が入ったことのない企業や、過去に不正があり毎年税務調査が入る企業もあり、税務調査の対象となる明確な基準はないようです。風俗業などの不正が多い業種であったり、決算書が怪しい企業であったりと税務調査が入りやすい企業には特徴があります。

同業他社に比べて所得率が低い企業

所得率とは「所得÷売上」のことで、所得率が同業他社と比べて低い企業について、税務署は利益を圧縮して税金をごまかしているのではないかと疑いをかけます。税務署は同業他社の決算書にも隅から隅まで目を通しているので、利益を小さくした粉飾決算には注目しています。

勘定科目に変動がある場合

前年比で勘定科目に大幅な変動がある場合も、税務調査のターゲットになります。というのも、法人税を節税するにあたり経費を増やして課税対象部分を減らすのが常套手段とされているためです。また、毎年発生しておらず、その年だけある勘定科目が増えていた場合も、何かしらの粉飾決算ではないかと疑いをかけられます。

赤字の企業も税務調査の対象となる

「赤字が続いているから税務調査の対象にはならないだろう」と考える方も多いのではないでしょうか?税務調査とは、利益を出した企業が対象なのではなく、正しく税金を申告したかどうかに対して行われるので、企業が黒字・赤字かどうかは関係ありません。仮に赤字であっても申告内容が正しくないケースは税務調査の対象となります。

個人事業主も税務調査の対象になる

個人事業主も税務調査の対象になる

企業の場合はもちろん、個人事業主であっても申告に不備があれば税務調査の対象となります。近年ではSNSを通して有名人でなくても何百万とする仕事を受注したり、婚活などのカウンセリングをしたり、noteなどのプラットフォームでコンテンツを販売したりと、インターネットを介して個人が活躍して稼ぎやすくなっている時代でもあります。

インターネットでは匿名で売買できるので、税務署員はSNSで流行りのインフルエンサーなどにも注目しています。稼ぎ方が多様になり、高度なスキルがなくても稼げるようになった今だからこそ、税務調査にはこれまでよりも一層気をつけて不備なく申告したいものです。

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