相続税の追徴課税は、いつどのように発生する?概要と対処法を解説

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相続税の申告は「慣れていない」「計算が難しい」といったことから、金額を誤って申告したり、申告が必要にも関わらず無申告で済ましてしまったりするケースが発生しがちです。相続税を少なく申告、または無申告であると、ペナルティとして追徴課税が課されます。

相続税の金額は多額になるケースも多く、本税に比例する追徴課税の負担も重くなりがちです。この記事では相続税の追徴課税について、概要およびどのような場合に発生するか、負担を減らすための対処法を紹介します。

相続税の追微課税は4種類

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相続税の申告で、追徴課税される税金は以下の4つです。

  1. 無申告加算税
  2. 過少申告加算税
  3. 重加算税
  4. 延滞税

1.無申告加算税

申告期限までに申告をしなかった場合に課せられます。

税務調査で指摘された場合、原則として税額に以下の税率をかけあわせた金額になります。

  • 税額が50万円までは15%
  • 50万円を超える部分は20%

令和6年1月1日以後に申告期限が到来するものは、300万円を超える部分は30%という要件も加わります。

詳しい要件は国税庁ホームページ「確定申告を忘れたとき」を参照ください。

2.過少申告加算税

申告した税額が正しい税額よりも少なかった場合に課せられます。

税務調査で指摘された場合、原則として税額に以下の税率をかけあわせた金額になります。

  • 追加税額の10%
  • 50万円を超える部分は20%

ただし、税務調査を受ける前に修正申告をした場合には、過少申告加算税はかかりません。

詳しい要件は国税庁ホームページ「確定申告を間違えたとき」を参照ください。

3.重加算税

悪意をもって隠したり、誤った申告をしたりした場合に課せられます(国税通則法第68条)。

税務調査で指摘された場合、原則として税額に以下の税率をかけあわせた金額になります。

  • 過少申告加算税に代わる重加算税は35%
  • 無申告加算税に代わる重加算税は40%

悪質な場合、無申告加算税や過少申告加算税に代わって、税率の高い重加算税が課せられます。過去5年内に無申告加算税などを課されている場合にはさらに10%が加重されます。

4.延滞税

納税が遅延したことによる遅延利息で、納付日までの日数に応じて課せられます。延滞税の計算は、国税庁ホームページ「延滞税の計算方法」にて試算が可能です。

追微課税の多くは税務調査で発生する

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期限後に自主的に申告をした場合も、追徴課税は発生します。しかし、追徴課税が発生する多くのケースは税務調査です。

特に「相続税」の税務調査では、追徴課税が発生しやすい状況です。国税庁が令和5年12月に発表した「令和4事務年度における相続税の調査等の状況」では、実地調査件数に対して約85.8%で申告漏れ等が発生しています。追徴税額は本税、加算税合わせて669億円に上っており、相続税の税務調査における追徴課税は金額、件数ともに多いことがわかります。

追微課税が発生しやすいケースと、負担を減らすための対処法

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相続税の追徴課税が発生しやすい主なケースは、以下のとおりです。

  1. 相続人が把握しきれていない相続財産があった
  2. 名義預金があったが、相続財産として申告していなかった
  3. 相続開始前3年(ただし令和5年税制改正で7年に改正)の暦年贈与を相続財産に加算していなかった
  4. 不動産の評価額を誤っていた

1.相続人が把握しきれていない相続財産があった

近年では通帳のない銀行口座も増えたことなどから、相続人が把握しきれていない預金や証券会社の資産があった場合、もし相続財産から漏れてしまうと、相続税の過少申告となります。また、生命保険や死亡退職金も相続財産ですが、申告から除外してしまいがちです。漏れのないように、相続財産の調査は慎重におこないましょう。

2.名義預金があったが、相続財産としていなかった

「名義預金」とは、被相続人(亡くなった方)以外の方の名義であるものの、被相続人(亡くなった方)が印鑑などを保管して実質的に管理している預金、名義人がその存在を知らない、自由に使えない預金をいいます。名義預金は実質的に被相続人(亡くなった方)の相続財産とされます。もし名義人に贈与をするのであれば、契約書を作成する、金額によっては贈与税の申告をする、といった対策が必要です。

3.相続開始前3年(ただし令和5年税制改正で7年に改正)の暦年贈与を相続財産に加算していなかった

年間110万円以下であれば税の負担なく贈与ができ、これを一般的に「暦年贈与」と呼んでいます。ただし相続開始前3年(ただし令和5年税制改正で7年に改正)の暦年贈与は、相続財産に加算する必要があるため、失念しないようにしましょう。

4.不動産の評価額を誤っていた

不動産の評価方法は難解な面があり、誤りやすいポイントです。少なく評価すれば追徴課税の対象となるだけでなく、逆に高い金額で評価してしまい節税できなかったケースもあります。

追徴課税の負担を減らすための対処法は、主に以下のとおりです。

  • 正確な相続税申告をする。不安な場合は税理士への依頼を検討する
  • 申告の誤りを発見した場合は、一刻も早く修正申告をする

税務調査で指摘される前に修正申告をすれば、追徴課税の加算税の負担を減らせます。また、早めの申告により延滞税も結果的に減らせるでしょう。

まとめ

暦年贈与:毎年110万円以内の贈与が非課税となる贈与

以上、相続税の追徴課税の概要、発生しやすいケースと、少しでも負担を減らす対処法を紹介しました。

相続税の申告は、計算だけでなく不動産や時価のない株式の評価など、難しい面が多くあります。また、相続財産を漏れなく調査することが大変なケースもあるでしょう。相続税の本税が多額になれば、追徴課税の負担も高くなります。追徴課税の不安を抱えず、安心して相続税申告をおこなうためには、税理士への相談をおすすめします。

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