相続した不動産を売却すると発生する税金と、節税対策を解説!

不動産

不動産を相続する際に、そのまま利用するか、売却するか決めていますか?相続は人生で何度も経験するものではないため、決めていない人も多いのではないでしょうか。しかし、相続は相続税がかかったり、手続きの期間も決まっていたりするため、悩む時間に余裕があるとは限りません。そこで今回は、相続した不動産を売却すると決めた場合に発生する税金と、節税対策を詳しく解説します。

相続した不動産の売却時に発生する税金

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相続した不動産の売却時に発生する税金には、必ず支払わなければならない税金と、状況に応じて支払わなければならない税金があります。それぞれの税金の概要と、どのような状況で支払わなければならないのかを詳しく解説します。

印紙税

必ず支払わなければならないのは「印紙税」です。印紙税は、売却時に交わす売買契約書に対して発生する税金です。印紙税の額は、売却した不動産の価格によって変動します。例えば、売買契約書に記載された売却価格が1,000万円超え5,000万円以下の場合には、印紙税は10,000円です。印紙税は軽減税率の対象で、2014年年4月1日から2024年3月31日までの間に作成された売買契約書に適用されるため、注意が必要です。

登録免許税

相続した不動産を売却するためには、名義を被相続人から相続人へ変更しなければなりません。この手続きは相続登記と呼ばれますが、相続登記は対応期限が決まっていませんでした。しかし、2024年4月1日から相続登記が義務化されるため、不動産の所有権を相続したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があります。そして、相続登記にともない発生するのが登録免許税です。相続登記にともなって発生する登録免許税の計算式は以下のとおりです。

  • 登録免許税=不動産価格×0.04%

不動産価格は原則、市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格です。

譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産を売却して、利益が発生した場合に支払う税金です。課税譲渡所得金額の計算式は以下のとおりです。

  • 課税譲渡所得金額収入金額ー(取得費+譲渡費用)ー特別控除額

それぞれの言葉の意味を解説します。

  • 収入金額=不動産の売却価格
  • 取得費=売却した不動産の購入代金や、先述した登録免許税などの費用
  • 譲渡費用=不動産を売却するための仲介手数料や、先述した印紙税などの費用

特別控除額は、不動産の種類によっても異なるため、詳しく知りたい方は国税庁のホームページをご覧ください。譲渡所得税は、先述した課税譲渡所得金額に税率をかけて算出しますが、税率は不動産の所有期間によって異なるため注意が必要です。それぞれの税率は以下のとおりです。

  • 長期譲渡取得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える不動産)の税率=

20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

  • 短期譲渡取得譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の不動産)の税率=39.63%(所得税30.63%+住民税9%)

2013年から2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて申告・納付しなければなりません。

不動産の売却時に発生した税金の節税方法

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先述したとおり、不動産の売却にはさまざまな税金が発生します。しかし、譲渡所得税は税金を安くするために2種類の特例を適用できる可能性があります。それぞれの特例を見ていきましょう。

取得費加算の特例

取得費加算の特例とは、相続が発生したその日から3年10ヶ月以内に相続した財産を譲渡した場合に適用できる特例です。条件を満たせば、相続税額の一部を取得費に加算できるため、譲渡所得税が安くなります。必要な条件は以下のとおりです。

  • 相続や遺贈により財産を取得していること
  • 財産を取得した人に相続税が課されていること
  • 相続税の申告期限から3年以内に譲渡していること

国税庁のチェックシートを利用すれば、条件を満たしているかどうかを確認できます。

空き家特例

空き家特例とは、相続が発生したその日から3年を経過する年の12月31日までに、相続した財産を譲渡した場合に適用できる特例です。条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円まで控除可能です。2024年1月1日以降の譲渡は、相続人が3人以上の場合は、2,000万円までになるため注意しなければなりません。代表的な条件は以下のとおりです。

  • 1981年5月31日以前に建築されている
  • 区分所有建物登記がされている建物ではない
  • 相続が発生する直前に、被相続人以外が住んでいない
  • 売却価格が1億円以下であること

空き家特例にも、国税庁はチェックシートを用意しているため、該当するかどうか確認しておきましょう。

まとめ

不動産は売却した方がよいタイミングもあれば、売却せずに活用した方がよいタイミングもあります。しかし、不動産の売却は人生で何度もある経験ではないため、自分で判断するのは難しいでしょう。判断に迷い、不安になる時は不動産会社や税理士など専門家の力を借りることをおすすめします。そうすれば、タイミングを逃さず、最善の選択肢を掴み取ることができるでしょう。

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