内部留保の使い道とは?なぜ問題視されている?メリットも解説

みらい会計

ここ数年間で企業の内部留保が問題となっています。内部留保とは、簡単に言えば企業にとっての個人の貯金のようなもの、すなわち企業が貯め込んでいるお金のことです。お金を貯めることは悪いことではありませんが、なぜ問題となっているのでしょうか?そして、通常の企業において内部留保はどのように使われているのでしょうか?

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内部留保の使い道とは?

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内部留保が問題視されている理由は後ほどお伝えするとして、そもそも内部留保はどのように使われているのでしょうか?

先ほどもお伝えしましたが、内部留保とは税引後利益から配当や役員賞与などが支払われた後に残るお金のことで、「利益剰余金」として見なされます。そのため、一般的に内部留保は、事業拡大のための設備投資の返済や事業活動に利用されています。

内部留保はなぜ問題なのか?会計と税の観点から考える

内部留保が問題視されている理由

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内部留保が問題視されている理由としては、「内部留保が増えることにより本来使われるべき箇所に資金を回さず、景気の回復が遅れてしまう」ということが挙げられています。具体的にどのようなことを指すのか考えてみましょう。

まずは、人件費の側面から考えます。利益剰余金が発生することによって企業は設備投資など、将来の利益を生むものにお金を使おうとすることは分かります。しかし、設備投資以外にも賃上げによって社員の給料を上げたり、新たな雇用創出のために人件費を増加することも大切です。

とはいえ、内部留保がここ十数年の間で増加傾向にあり、賃上げも課題になっているにもかかわらず、一向に改善していないのが現状です。雇用を創出すれば優秀な人材を雇えるし企業の発展に繋がり、非正規雇用が正規雇用になって少子化などの問題も解決の糸口が見つかりそうですが、なかなかうまくいっていないようです…。

そして、配当の側面から考えます。利益剰余金が潤沢にあれば増配して新たな株主を呼び込めますが、現状としては配当性向(当期純利益に対する配当の割合)は低下しています。

内部留保のメリット

内部留保が問題視されているもののメリットもあります。それは個人の貯金の場合でも同様の理由が言えますが、「万が一の時に備えられるため」「企業の信用を得やすいため」です。

企業が経営危機に陥った際には貯めていた内部留保に救われるでしょう。新型コロナウイルス感染症下で一時的に景気が落ち込んでも内部留保を切り崩しながら経営できます。また、内部留保を持っていることで支払いができると見なされ、信用にも繋がります。こちらは日本の商慣行が関わっています。

内部留保も課税される

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内部留保は100%悪ではなく、いざという時に大いに役立つ存在です。また、内部留保も課税対象となり、「留保金課税」と呼ばれています。留保金課税とは、同族関係者が株式を50%保有している場合に追加で課税される法人税のことです。というのも、50%以上の株式を企業の特定の個人が有していた場合、その個人の意見によって企業が左右されてしまうためで、このような状況を防ぐためにも設置された税金です。現時点では留保金課税が内部留保への税金に該当します。

しかし、このような課税方法はほとんどの企業には当てはまりません。そのため内部留保に対する課税はほぼ無いと言っても良いでしょう。しかし、内部留保の活用を促すためにももっとアクションを起こさないといけないと言われており、その例として幅広い企業を対象とした内部留保そのものへの課税を行って賃上げなどへ資金を使わせるといった観点が議論されています。

しかしながらこの課税方法では、ただでさえ23.2%と高い日本の法人税率に加えてさらなる課税を行うといった側面から、企業の海外流出や日本の競争力低下が問題となってしまいます。

「人」にフォーカスした投資が必要

少子高齢化の原因のひとつとして経済力の低下が挙げられるでしょう。確かに日本の賃金はここ何十年かで低下しています。そして、経済力を高めるには給与を上げる必要があり、その出自と言えるのが内部留保にあるといえるでしょう。ここ最近では大手企業の賃上げのニュースが取り沙汰されており、1~2万円ほど給料が高くなるケースもあるようです。2万円上がるとすると年間で25万円近くの賃上げとなります。給料が高くなれば社員のやる気も上がるだけでなく、今後の良い人材の確保にも繋がるでしょう。内部留保の使い道を事業だけでなく、資本となる「人」に投資することが今後の日本企業の課題なのかもしれません。

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