資金繰りは会社経営の中でも最重要な仕事のひとつであり、いくら利益が出ていても資金繰りに失敗すると経営破綻をすることもあります。この記事では、中小企業の経営者が資金繰りの相談をするメリット、相手先、および早期に相談すべき会社の特徴を紹介します。資金繰りを失敗しないためには、相談すべき相手先と時期を適切に選びましょう。
企業の経営・資金繰りについてのご相談は、税理士事務所への相談を推奨致します。
資金繰りを相談する目的とメリット
資金繰りを相談する目的は、融資実行のためだけではありません。主に以下のような目的があります。
- 融資を受けたい
- 業績が悪くリスケジュールを相談したい
- 長期的な資金繰りの改善方法についてアドバイスを受けたい
- 資金繰りの管理方法についてアドバイスを受けたい
目的によっては適切な相談先も異なるため、まずは具体的に何を相談したいかを明確にしましょう。
資金繰りを相談するメリットは以下のとおりです。
- 資金調達の成功可能性が高まる
- 必要な融資金額がわかる
- 資金繰りが改善する
- 経営状態が改善する
- 事業計画書など、融資審査時の書類作成の支援が受けられる
資金繰りにひっ迫してから融資の相談だけをしても、その時だけの対応策で終わってしまう可能性もあります。中小企業の経営者が会社を発展させていくためには、常に資金がショートしないことはもちろん、資金繰りを改善していく必要があるでしょう。
中小企業の経営者が資金繰りを相談したい先は?
資金繰りについて相談したい先は、主に以下のとおりです。
- 金融機関
- 税理士
- コンサルタント
- その他(商工会議所など)
相手ごとに相談できる内容を紹介します。
金融機関
金融機関には、基本的に以下について相談できます。
- 融資の依頼
- 融資金額の相談
- 返済に問題が起きた場合のリスケジュールの相談など
また、上記に加えて金融機関は、資金繰りの改善のための現実的な提案をするケースがあります。金融機関は融資を返済してもらうことが必要であるため、資金繰りに問題が出ると困るからです。金融機関には、実際に融資を受けるために会社の経営状態や事業計画を伝えており、具体的なアドバイスが可能です。
相談する金融機関は、メインバンクや融資・取引のある金融機関、新規起業や融資を受ける先に困っている場合は、日本政策金融公庫などを検討しましょう。
税理士
税理士は日常的に資金繰り全般を相談できる身近な相手です。融資を受けたい、または受けている場合には、以下のような支援が受けられます。
- 融資依頼時の銀行対応に関するアドバイス
- 事業計画書などの、融資依頼時の書類作成支援
- どこから融資を受けるべきかの選定、紹介
- 融資中には会社の業績数字(決算書)を提供、説明
また、融資を受ける・受けないに関わらず、以下のような支援も受けられます。
- 資金繰りの改善提案
- 資金繰り表の作成支援
もし資金繰りにひっ迫していなくても、改善できる点がないかアドバイスを求めるとよいでしょう。
税理士は決算・申告業務が業務の主軸ですが、他にもさまざまなサービスを提供しています。「銀行対応・資金繰り支援」に関してはその業務を強みとする税理士がいるため、税理士を探すときのひとつの判断基準にすることも考えられるでしょう。
コンサルタント
コンサルタントは、主に資金繰りの改善に対するアドバイスをしてくれます。コンサルティングにはさまざまなサービスがあるため、何をして欲しいかを明確にしましょう。例えば以下のような支援が受けられます。
- 事業再生を目的とするコンサルティング
- 経営改善、資金繰り改善のためのアドバイス
- 事業計画書、資金繰り表の作成支援
- 融資の計画、銀行との交渉のアドバイス
コンサルタントはその道のプロであり、専門性が高いといえます。また業務を丸投げすることも可能です。確実に目的を達成したい、丸投げして本業に注力したい場合などには、コンサルタントへの依頼が効果的です。ただし、前述したようにコンサルティング会社のサービスはさまざまなので、希望した業務が可能かどうかを事前によく検討しましょう。
その他(商工会議所など)
このほかにも、以下のような先でも資金繰りを相談できます。
- 商工会議所、商工会
- 中小企業基盤整備機構
- よろず支援拠点
- 所属している業界団体
長時間に渡る詳細な相談は難しいケースが多いですが、手軽に相談できる点がメリットです。
早期に資金繰りを相談する必要がある会社の特徴
まとめると以下のとおりです。
- 資金繰りにひっ迫している
- 資金繰り表を正確に作成できている自信がない
- どの程度の現預金を保有しておくべきか自社内で把握していない
- 在庫の金額が多い、動きがない在庫を抱えている
- 売上に対して売掛金、受取手形の比率が高い
- 手形を発行している
現金化が遅い資産を多く抱えている場合や、倒産リスクの高い支払手形を発行している場合は、資金がショートしないように資金繰りをより注視する必要があります。また資金繰りを改善する余地も大きいため、相談の効果も高いと考えられます。
まとめ
以上、中小企業の経営者が資金繰りの相談をする先を、目的やメリットとともに紹介しました。
資金繰りの相談というと、融資の申し込み時のみと思いがちですが、資金繰りは経営をおこなうにあたり常に注視すべき事柄です。相談をすると問題点が把握でき、経営改善を図ることができます。相談する目的を明確にして、適切な先に相談をしましょう。
税理士は資金繰り全般のアドバイスが可能です。迷った場合は、相談先の選定も含めて一度相談をしてみることをおすすめします。
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