相続登記は2024年4月から義務化されました。不動産を相続したことを知ってから3年以内に申請をしないと、10万円以下の過料を科せられる可能性があります。相続登記とは、亡くなった方の名義である不動産を相続人の名義に変更するための手続きです。この手続きでは、多くの書類を揃えなくてはいけません。
相続登記に必要な書類は、相続の方法によって異なります。本記事では3つのケース別にそれぞれ必要となる書類について説明します。
遺産分割協議による相続の必要書類
遺産分割協議とは、相続人全員で話し合い、誰がどの財産を相続するかを決める手続きです。この協議の結果を記した「遺産分割協議書」と、相続人全員の「印鑑証明書」が必要になります。遺産分割協議に参加する相続人であることを証明するために、不動産を相続しない相続人も戸籍謄本が必要になります。
必要書類 | 取得場所 | 対象者 | 備考 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 被相続人の本籍地の市区町村役場 | 被相続人 | 戸籍謄本は各本籍地の役場で取得 |
相続人の戸籍謄本 | 市区町村役場 | 相続人全員 | 被相続人の死亡以降に発行されたもの |
被相続人の住民票除票または戸籍除附票 | 市区町村役場 | 被相続人 | 住民票除票は被相続人の最終住所地で取得 |
住民票または戸籍附票 | 市区町村役場 | 不動産を相続する相続人 | 不動産を相続しない相続人は必要なし |
固定資産評価証明書 | 不動産がある市区町村役場または都税事務所 | 不動産を相続する相続人 | 被相続人の死亡した年度ではなく、相続登記した年度のもの |
印鑑証明書 | 市区町村役場 | 相続人全員 | 発行した時期は問わない |
遺産分割協議書 | 相続人または税理士が作成 | 相続人全員 | 相続人全員が署名・押印済み |
登記申請書 | 申請人が作成 | 不動産を相続する相続人 | 法務局のホームページからダウンロード https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html |
相続関係説明図 | 申請人が作成 | 被相続人と相続人全員 | 家系図のようなもの |
法定相続分どおりの相続の必要書類
法定相続分とは、法律で定められた相続人ごとの相続割合の通りに遺産分割することです。この場合、遺言書も遺産分割協議書も不要ですが、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本が必要になります。
必要書類 | 取得場所 | 対象者 | 備考 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村役場 | 被相続人 | 戸籍謄本は各本籍地の役場で取得 |
戸籍謄本 | 市区町村役場 | 相続人全員 | 被相続人の死亡以降に発行されたもの |
被相続人の住民票除票または戸籍除附票 | 市区町村役場 | 被相続人 | 住民票除票は被相続人の最終住所地で取得 |
住民票または戸籍附票 | 市区町村役場 | 相続人全員 | |
固定資産評価証明書 | 不動産がある市区町村役場または都税事務所 | 不動産を相続する相続人 | 被相続人の死亡した年度ではなく、相続登記した年度のもの |
登記申請書 | 市区町村役場または法務局 | 不動産を相続する相続人 | 法務局のホームページからダウンロード https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html |
相続関係説明図 | 申請人が作成 | 被相続人と相続人全員 | 家系図のようなもの |
遺言に基づく相続の必要書類
遺言書がある場合、その内容に基づいて相続が行われます。この場合、遺言書を証明する家庭裁判所による「検認済みの遺言書」や、遺言で指名された遺言執行者が任務を承諾した「就任承諾書」などが必要です。これらの書類がないと、法定相続分や遺産分割協議に基づく相続が行われることになってしまいます。
必要書類 | 取得場所 | 対象者 | 備考 |
遺言書 | 公証役場や法務局、被相続人の自宅など | 遺産分割協議は不要だが、書類は必要 自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要 公正証書遺言の場合、遺言書の謄本が必要 自筆証書遺言保管制度では検認不要 |
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被相続人の戸籍謄本(除籍謄本) | 市区町村役場 | 被相続人 | 死亡の記載があるもの 出生から揃える必要なし |
戸籍謄本 | 市区町村役場 | 不動産を相続する相続人 | 被相続人の死亡以降に発行されたもの 相続人以外が不動産を遺贈された場合は不要 |
被相続人の住民票除票(除票)または戸籍除附票 | 市区町村役場 | 被相続人 | |
住民票または戸籍附票 | 不動産を取得する人 | 遺贈された場合も必要 | |
固定資産評価証明書 | 不動産がある市区町村役場または都税事務所 | 不動産を取得する人 | 被相続人の死亡した年度ではなく、相続登記した年度のもの |
登記申請書 | 市区町村役場または法務局 | 不動産を取得する人 | 法務局のホームページからダウンロード https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html |
相続登記を相続人自ら行う場合
自分で相続登記を行う最大のメリットは、司法書士に依頼する際にかかる5〜15万円程度の報酬を節約できる点です。
一方で、相続登記の手続きは複雑で時間がかかるため、ミスが発生しやすい点がデメリットです。書類不備や記入ミスがあった場合、手続きが遅れる原因となり、再申請が必要になることもあります。そうなると、揃える必要書類も再取得が必要になる可能性が出てきて大変手間がかかってしまいます。
専門家に依頼する場合
司法書士に依頼することで、書類不備や記入ミスを防ぎ、スムーズに手続きを進めてもらえます。書類の準備や提出をすべて代行してもらえるため、手間がかかりません。
相続登記を自分で進めるか、司法書士に任せるかの判断は、相続人自身の知識レベル、相続内容の複雑さ、割ける時間がどれくらいあるかに左右されます。
相続税申告を税理士に依頼していた場合、知り合いの司法書士を紹介してもらえることが多いので、司法書士を探す手間はあまり心配しなくても大丈夫でしょう。
まとめ
家族を亡くした後の相続登記、心の整理もつかないまま多くの手続きが必要になります。特に相続登記は、手続きが遅れると後々大きな問題やペナルティが発生することがありますので、迅速な手続きが望ましいです。手続きに不安がある場合は、早めに司法書士など専門家に相談することをおすすめします。
弊所には提携先である司法書士がいますので、相続登記など今後のお手続きについてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
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