タンス預金は相続対策にならない?税務署に指摘される理由とは

相続

タンス預金は「現金の現物」であり、相続税の申告時に相続財産から除外しても税務署には見つからないのではないかと考える方もいます。しかし、税務調査では高確率で指摘されるのが現実です。

自宅に現金を置いておくこと自体は何も問題はありません。この記事では、タンス預金とは何か、タンス預金のメリット、デメリットを解説します。そして、もしタンス預金を相続財産から除外して申告した場合、税務署に指摘される主な理由を紹介します。タンス預金を相続時にどう扱うべきか気になる方は、参考にしてみてください。

タンス預金とは?相続対策にはならない

タンス預金とは、自宅などに置いてある現金の現物を言います。タンスに現金を保管する家が多かったことから、このように呼ばれるようになりました。

相続税は、相続財産の金額に応じてかかります。タンス預金が被相続人(亡くなった方)のものであれば、相続人はタンス預金も相続財産として申告をし、相続税を負担しなければなりません。

しかし、銀行の預金や証券口座と異なり、現金の現物がいくらであるかは、現物を見た方しか正確にはわかりません。このため相続財産から除外して申告をしても、税務署が自宅を捜索しない限りわからないのではないかと思われる方もいます。しかし、税務調査があれば高確率で指摘されるため、相続対策として使うことはできません。指摘される理由は後の項目で解説します。

タンス預金のメリットとデメリット

現金を自宅に置くこと自体は特に問題ありません。タンス預金のメリットとデメリットを紹介します。

タンス預金のメリット

主に以下のメリットがあります。

  • 死亡時に銀行口座が凍結されても支払ができる
  • 生前、生活にかかる費用を、口座からおろす手間なく支払える
  • 万が一銀行などが破綻しても損失を防げる(ペイオフ制度で保護される部分以外)

現金はいつでも自由に使えるため、被相続人(亡くなった方)の生前から死後まで、相続人が代わりに支払ができて便利です。

タンス預金のデメリット

一方で主に以下のデメリットがあります。

  • 災害や盗難で紛失する可能性がある
  • 現金があること、またはある場所を忘れてしまう可能性がある
  • 利息がつかない
  • 相続時、トラブルになりやすい

相続財産は、相続人全員がすべてを認識していないケースもあるでしょう。特に現金は金額と保管場所が明確でないことも多く、相続時に発見した人が持ち去って他の相続人に伝えない、もしくは金額を少なめに伝えるなどしてトラブルになる可能性があります。

また、相続手続きが終わった後にタンス預金が発見される場合もあります。この場合再度手続きをやり直さねばならず、大きな手間です。

タンス預金がある場合には、事前に金額や保管場所を相続人に共有しておきましょう。

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タンス預金が税務署に指摘される主な理由

タンス預金は現金であり、相続財産に含まれるため相続税の課税対象です。前述のように、税務署にはばれないだろうと思われる方もいますが、税務調査では指摘されます。理由を紹介します。

KSKシステムで納税者情報を一元管理している

KSKシステムは国税総合管理システムのことであり、過去の申告データ、法定調書などの税務に関するデータを一元管理しています。過去の申告書の所得データから推測し、相続税の申告における相続財産が極端に少ないと、申告漏れがないかを疑われ、税務調査に入る可能性が高くなります。

過去10年間の預金の動きを調査している

税務署は過去10年間の預金の取引を調査可能です。預金から多額の金銭を引き出して、使途が説明できない場合、タンス預金を疑われるでしょう。

また被相続人(亡くなった方)だけでなく、相続人等の口座も調査可能です。預金に多額の入金があれば、タンス預金から入金したのではないかと懸念を持たれます。

法定調書から財産情報を取得している

法定調書は、保険会社、証券会社、不動産会社などから提出されるものです。支払った金額等を記載して、税務署に提出が義務付けられています。

この情報から、不動産の売買や証券取引などの実態がわかり、銀行口座の取引記録も勘案して相続財産が極端に少ないと、申告漏れがないかを疑われ、税務調査に入る可能性が高くなります。

実地調査がおこなわれる

税務調査では、書類のやり取りだけでなく調査官が訪問して実地調査がおこなわれます。

実地調査ではさまざまな質問、現地の金庫などの確認をおこないます。質問では収入、支出などについてさまざまな切り口で確認し、他の情報も勘案して申告された相続財産が少ない場合には、タンス預金を疑われる可能性があるでしょう。

税務申告や銀行口座などの事前の調査に加えて、実地調査をおこなうことで、高確率でタンス預金は指摘されます。

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タンス預金が税務署に指摘されるとどうなる?

もし税務署に指摘された場合、以下のペナルティが科せられます。すべてではなく、状況に応じて当てはまるものが科せられます。

  1. 延滞税:納税が遅延したことによる遅延利息。納付日までの日数に応じて科せられる。
  2. 無申告加算税:相続税申告が必要であったにも関わらず申告していなかった場合に科せられる。
  3. 過少申告加算税:申告した相続財産の金額が少なく、税額を少なく申告していた場合に科せられる。
  4. 重加算税:悪意をもって隠した、または誤った申告をした場合に科せられる。

詳しくは「相続税の追徴課税は、いつどのように発生する?概要と対処法を解説」を参照ください。

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まとめ

タンス預金は自宅などに置いてある現金の現物のことであり、税務署は把握できないと思われる方もいます。しかし、隠して申告しても、税務署は過去の申告の状況や銀行口座の動き、法定調書、そして実地調査などから判断して高確率で指摘をします。指摘されればペナルティを負担しなければならないため、タンス預金はしっかり把握して正しく申告をしましょう。そのためには、生前から情報を共有することが大切です。

相続税申告は専門的かつ煩雑であり、税理士への相談をおすすめします。

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