法人には法人税をはじめとした様々な税金がかかり、税金の種類によって納付時期・納付先・税務申告の必要性などが全く異なります。
正しい納税を行うためには税金に対する十分な理解が必要です。とはいえ、法人にかかるすべての税金について短期間で理解を深めるのは容易ではありません。まずはどのような税金がかかるのか、納付期限はいつなのか、その2つを押さえることが大切です。
今回は法人にかかる主な税金11種類について、概要や納付期限、税務申告の必要性などを解説します。
法人にかかる税金|決算から2ヵ月後が納付期限の5種類
法人にかかる税金のうち、最もインパクトが大きいのは決算から2ヵ月後に納付期限が到来するものです。当該事業年度の利益等に基づいて税額が決まります。
この章では、事業年度終了の日から2ヵ月以内に納付が必要となる5種類の税金について解説します。
法人税
法人税は会社の所得に対して課される国税です。計算式は「課税所得×税率-税額控除」で、適用される税率は資本金および所得額によって以下のように異なります。
資本金1億円以下 | 年800万円以下の部分 | 下記以外 | 15% |
適用除外事業者 | 19% | ||
年800万円超の部分 | 23.2% | ||
資本金1億円超 | 23.2% |
参考:国税庁「No.5759 法人税の税率」
法人税は税務申告が必要です。納税期限と同じく、事業年度終了の日から2ヵ月を経過する日が申告期限となります。
地方法人税
地方法人税とは、地方自治体の財源確保を目的とした税金です。名称に「地方」と入っていますが、地方税ではなく国税に該当します。
地方法人税の計算式は以下の通りです。
法人税×税率10.3%=地方法人税
前述した法人税とあわせて申告・納付を行います。
法人住民税
法人住民税は会社の事務所等が所在する自治体に納付する地方税です。
法人住民税は以下2つの要素から構成されています。
- 法人税割
法人税額に一定税率を乗じて計算する - 均等割
法人の資本金等の額および従業員の人数に応じた定額が課される
法人税割と均等割を合計した額が法人住民税の納付額になります。
法人住民税は都道府県と市町村のそれぞれに申告および納税が必要です。ただし東京23区は例外として、市町村民税相当分もあわせて都税事務所に申告・納税を行います。
法人事業税
法人事業税は「法人は事業活動を行うにあたり行政サービスを受けているため、行政サービスの経費を負担するべき」という考えに基づく地方税です。事業所が所在する自治体の都道府県税事務所に申告・納付を行います。
資本金1億円以下の普通法人の場合、法人事業税は所得額に一定税率を乗じて計算します。資本金が1億円を超える場合は付加価値額に応じた付加価値割、資本金等の額に応じた資本割も加算される仕組みです。
消費税
消費税は国内における商品やサービスの提供といった取引に課される税金です。
消費税の計算方法は原則課税と簡易課税で以下のように異なります。
- 原則課税の場合:売上に係る消費税-仕入に係る消費税
- 簡易課税の場合:売上に係る消費税-売上に係る消費税×みなし仕入率
簡易課税は基準期間(前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の場合に選択できる制度です。簡易課税の場合は業種ごとに定められた一定のみなし仕入率を用いるため、実際の仕入に係る消費税額は計算に使いません。
法人にかかる税金|毎月または半年に1回納税が必要な2種類
毎月または半年に1回納税が必要な税金は以下の2種類です。
- 源泉所得税
- 特別徴収の住民税
上記はいずれも、従業員の給与等から天引きした額を法人が代わりに納めるものです。税金を負担するのは法人ではないため、厳密には法人に「かかる」ものではありません。一方で納付義務は法人に課されているため、期日までに必ず納める必要があります。
源泉所得税と特別徴収の住民税それぞれについて解説します。
源泉所得税
源泉所得税とは給与や報酬から天引きした所得税です。従業員に対する給与のほか、原稿料や講演料、士業への報酬等も源泉徴収の対象となります。
源泉所得税は原則として、源泉徴収を行なった月の翌月10日までに納付が必要です。ただし従業員が10人未満の場合、一定の要件を満たすことで、源泉所得税を年2回にまとめて納付する特例制度の適用が可能となります。
特別徴収の住民税
特別徴収とは給与支払者が従業員の給与から住民税を天引きし、納税義務者である従業員に代わって住民税を納付する制度です。
特別徴収した住民税は原則として、給与等を支払った月の翌月10日までに納付が必要です。ただし源泉所得税と同様に、従業員が10人未満で一定の要件を満たす場合は、納入回数を年2回にまとめる特例の適用を受けられます。
法人にかかる税金|都度発生する4種類
最後に、課税要件を満たした場合に都度発生する税金のうち、主なものを4種類紹介します。
登録免許税
登録免許税とは法務局への登記や許認可等に際して発生する税金です。法人に登録免許税がかかる場面の主な例として、変更登記や支店の設置の登記、不動産登記等が挙げられます。登録免許税の税率は登記の種類によって異なります。
印紙税
印紙税は契約書や金銭の受取書(領収書)など、印紙税法で定められた課税文書の作成に対して課される税金です。対象の課税文書に税額分の収入印紙を貼り付けることで納付したとみなされます。印紙税の額は文書の種類および取引額によって異なります。
自動車税
社用車を保有している場合は自動車税の支払いも必要です。税額は自動車の排気量や新車登録年数等によって算定されます。毎年5月頃に自動車税の納税通知書および納付書が届きます。
固定資産税
固定資産税は土地や建物といった不動産や償却資産に課される税金です。その年の1月1日時点で保有している固定資産の価値に基づいて税額が算定されます。自治体から届く納付書を使って納税します。
固定資産税の納付は年4回に分けるのが一般的ですが、一括での納付も可能です。
コメント