法人税の節税テクニック10選!中小企業の節税対策に役立つ情報を紹介

税務情報

法人に課せられる税金の中でも特にインパクトが大きいものが法人税です。法人の税負担を最小限に抑えるためには、法人税の節税対策を行うべきでしょう。

 

ただし、節税手法の中には手間のわりに得られる節税効果が小さいものもあります。効率的な節税対策のためには、かかる労力と得られる効果のバランスを考えることが大切です。

 

今回は法人税の大きな節税効果を期待でき、かつ、手間が少なく実施しやすい方法を10個紹介します。

前提|法人税の節税対策には青色申告が必須

法人税の節税対策のために最も重要なのが青色申告にすることです。青色申告では以下のように税金面でのさまざまな優遇措置を受けられます。

 

  • 欠損金を最大9年間繰り越し、翌期以降の利益と相殺できる
  • 欠損金と過去の利益を相殺し、過去に納付した法人税の還付を受けられる
  • 30万円未満の減価償却資産を取得した事業年度に一括で費用計上できる
  • その他青色申告の法人に限定されたさまざまな優遇税制の適用対象になる

 

青色申告のデメリットは、複式簿記による記帳が必要なため白色申告よりも手間がかかる点です。ただし記帳の手間というデメリットよりも、節税効果のメリットの方が大きいといえます。

 

また、法人は毎年決算書の作成が必要であり、決算書を作成する際は複式簿記による帳簿の方が利用しやすいです。すなわち、法人の帳簿付けは複式簿記が前提と考えて良いでしょう。したがって、法人があえて白色申告を選択するメリットはないといえます。

 

青色申告の法人のみに認められている優遇税制の適用を受けるため、必ず青色申告の承認申請を行いましょう。

法人税の節税テクニック10選

法人税の節税効果が大きく、労力が比較的少なく済む10のテクニックを紹介します。

役員報酬を増やす

役員報酬は要件を満たせば損金算入が可能です。

 

役員に毎月支給する定期同額給与の額を増やせば、毎月の固定費が増えるため所得が圧縮されます。また、役員賞与の性質を持つ事前確定届出給与を支給すれば、一度に高額の支出が可能です。

決算賞与を支給する

決算賞与はその年の業績に基づいて支給額を決める賞与です。

 

決算賞与の性質上、実際に支給するのは翌期になるケースが多くみられます。しかし支給するのが翌期でも、要件を満たせば当期の費用計上が可能です。

 

支給の有無や金額を決算直前のタイミングで決められるため、法人税の節税対策として実施しやすい方法です。

出張手当を支給する

出張手当とは出張に伴い発生する食費等の費用や心身の負担等を補償するために支給する手当です。

 

出張手当は義務ではありませんが、支給すれば所得が減り法人税の節税につながります。出張の機会が多い企業であれば、出張手当の導入によって大きな節税効果を得られるでしょう。

 

ただし、出張手当を支払うには出張旅費規程の中で日当について定める必要があります。また、不自然に高額な額では損金算入が否認される恐れがあるためご注意ください。

社宅制度を導入する

社宅とは賃貸物件を法人名義で借りて、当該物件を自社の役員や従業員に貸し出す制度です。初期費用、毎月の家賃、各種手数料は会社が支払い、入居者から賃料相当額を受け取ります。

 

社宅では、会社が支払う各種費用と、入居者から受け取る賃料相当額との差額が経費となります。社宅制度の導入により経費計上できる額が増えるため、法人税の節税に効果的です。

経営セーフティー共済に加入する

経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)とは、取引先の倒産による資金繰りの悪化や経営難を防ぐ目的の制度です。取引先の倒産により売掛金の回収が困難になった場合、無担保・無保証人での借り入れができます。

 

経営セーフティー共済の掛金は損金算入できるため、法人税の節税が可能です。

福利厚生を充実させる

福利厚生を充実させて福利厚生費の支出が増えれば、結果として法人税の節税につながります。

 

福利厚生を充実させる方法として以下の例が挙げられます。

 

  • 健康診断制度の導入
  • 研修制度の導入
  • ランチミーティングや懇親会など社内イベントの実施
  • 資格取得の支援制度を導入
  • 法人名義で従業員の養老保険や年金保険に加入

 

法人税の確実な節税効果を得られるだけでなく、従業員の満足度向上にもつながるテクニックです。

法人名義の車を購入する

法人名義の車(社用車)を購入すれば、社用車にかかる以下のような費用を経費計上できます。

 

  • ガソリン代
  • 高速料金
  • 保険料や車検費用

 

また、車の購入費は減価償却により耐用年数にわたって費用計上が可能です。

大規模な広告宣伝を行う

広告宣伝にかかった支出は経費として計上できます。大規模な広告宣伝を行えば損金算入できる額が増えるため、法人税の節税につながります。

 

また、広告宣伝は認知度アップやファン獲得などにも効果的です。法人税の節税に限らず、会社にとって様々なメリットが存在します。

不良在庫を処分する

不良在庫の処分により、以下のような費用を計上できます。

 

  • 売却損
    原価よりも安い価格で販売した場合に、原価と売却額の差額を売却損として計上可能です
  • 廃棄損
    売却せずに廃棄した場合は原価の全額を廃棄損として計上できます
  • 評価損
    評価額が原価を下回る場合、原価と評価額の差額部分が評価損になります

 

上記3つはいずれも損金算入が可能です。

 

不良在庫の処分は法人税の節税だけでなく、財務諸表のスリム化や在庫管理の面でも大きなメリットがあります。

貸倒引当金を計上する

貸倒引当金とは、売掛金や貸付金の回収不能に対する備えとして計上する引当金です。売掛金等の債権に対して一定の繰入率を乗じた額を計上できます。

 

貸倒引当金は実際の支出を伴いません。そのため資金繰りに影響を与えず法人税の節税が可能です。

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