事業を開始するにあたって、まとまった資金を用意する必要があります。特に会社設立をする場合の資本金は最低でも数十万円、可能であれば100万円以上は用意するのが理想です。個人事業主の場合でも、事業によっては多額の資金が必要になります。
起業資金(創業資金)の額によっては自身だけで用意するのは難しいため、別の方法による資金調達も検討するべきでしょう。今回は起業や会社設立に向けた資金調達の方法を5つ紹介します。
資金調達の方法①金融機関からの融資
資金調達の方法として最も一般的なのが金融機関からの融資です。
一口に融資といってもさまざまな制度がありますが、起業前後の段階では以下いずれかの融資を利用するケースが多くみられます。
- 日本政策金融公庫による融資
- 制度融資(自治体、金融機関、信用保証協会が連携し運営する融資)
- 信用金庫の融資
銀行の融資は一定以上の事業実績がなければ申し込めず、起業前後には利用できないケースが多いです。
融資のメリット
融資のメリットとして、数百万円単位でのまとまった資金を調達できる点が挙げられます。申し込む融資の種類や審査結果によっては、一千万円以上の融資を受けられるケースもあります。
融資を利用する際の注意点
融資では必ず審査が行われるため、申し込んでも必ず利用できるとは限りません。審査基準は明確にされてはいないものの、以下の要素が重視されると考えられます。
- 創業予定の事業に関する経験の有無および程度
- 自己資金の額
- 申込者の信用情報
また、審査には2週間から1ヵ月程度かかります。スピーディな資金調達はできない点に注意が必要です。
資金調達の方法②補助金や助成金
補助金や助成金の活用も、資金調達方法として人気です。
補助金と助成金はいずれも対象者の要件が定められているため、必ずしも利用できるとは限りません。しかし後述のように多くのメリットがあるため、要件を満たす制度があれば申し込むことをおすすめします。
補助金と助成金の違い
補助金と助成金には以下のような違いがあります。
補助金 | 助成金 | |
主な管轄 | 経済産業省や自治体 | 厚生労働省 |
対象者の範囲 | 広い | 狭い、要件が細かく設定されている |
申請期間 | 申請期間は短め。1回の募集につき申請期間が2週間程度のケースも多い | 随時または長期間にわたり申請を受け付けている |
審査の有無 | 審査あり
要件を満たしていても審査に通過しなければ受給できない |
要件を満たせばほぼ確実に受給できる |
補助金の方が申請できる人の範囲が広いものの、審査期間の短さや審査の実施により利用できない可能性が高いです。助成金は要件を満たせばほぼ確実に受給できるものの、そもそも利用できる人の範囲が限られています。
補助金や助成金のメリット
補助金や助成金のメリットは返済の必要がない点です。定められた資金使途の範囲内であれば自由に利用できるため、後の資金繰りに悪影響を及ぼす恐れがありません。
補助金や助成金を利用する際の注意点
前述のように、補助金は要件を満たしていても審査に通過しなければ受給できません。助成金は要件を満たせば受給できるものの、そもそも対象者の範囲が狭いため利用できない可能性が高いです。
また、補助金や助成金はいずれも原則として後払いです。入金までに時間がかかる点に注意する必要があります。
資金調達の方法③クラウドファンディング
クラウドファンディングとはインターネット上で不特定多数から資金を集める方法です。専用サイトでプロジェクトを立ち上げ、サイト経由で金銭的な支援を募ります。
クラウドファンディングは大きく以下の3種類に分けられます。
特徴 | 返済の必要性 | |
購入型 | 支援者に対してリターンとして商品やサービスを提供する | なし
ただしリターンの提供が必要 |
寄付型 | 支援に対するリターンが発生しない。公益的な活動を行う組織や団体等が利用できる | なし |
融資型 | 仲介業者が不特定多数の個人投資家から資金を集め、まとめて企業に融資する | あり
元本と利息の返済が必要 |
上記3種類のうち、起業や会社設立に向けた資金調達として実施できるのは購入型クラウドファンディングです。
クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングの大きなメリットは返済の必要がない点です。目標を上回る額の資金を調達できるケースもあります。
また、専用サイトにプロジェクトを掲載して支援を募るため、宣伝やマーケティングの効果も期待できるでしょう。プロジェクトに共感した人がファンになってくれる可能性もあります。
クラウドファンディングの注意点
クラウドファンディングの注意点として以下の3つが挙げられます。
- 目標額が集まらない可能性もある
- インターネット上にプロジェクトの詳細を公開するため、アイディア盗用のリスクがある
- サイト上での進捗報告やリターンの準備・発送などの手間がかかる
資金調達の方法④出資を受ける
第三者から出資を受ける方法です。創業直後の段階では、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどから出資を受ける方法が一般的となります。
出資を受けるメリット
出資の大きなメリットは、返済義務のない資金を調達できる点です。出資額は投資家や状況によって異なりますが、数百万といった多額の出資を受けられる可能性もあります。
また、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルの多くはキャピタルゲインの獲得を目的としています。キャピタルゲインを得るためには、投資先の大きな成長が必要不可欠です。投資先の成長のために、ビジネス面でのノウハウ提供やアドバイスを積極的に行うケースが多くみられます。
出資を受ける際の注意点
メリットとして挙げた「ノウハウ提供やアドバイスを積極的に行うケースが多い」は、経営に干渉されるというデメリットにもなり得ます。投資家と考え方や方向性が違う場合、自由な経営活動ができなくなる恐れがあります。
また、出資額によっては自身の持株比率が下がり、議決権に影響を及ぼす可能性もあります。経営陣の支配権が弱くなってしまう恐れがあるため注意しましょう。
コメント