税務調査はいつ入る?実施時期の傾向や調査対象になりやすいケースを紹介

税務情報

税務調査とは税務申告が税法に則って適切に行われているか確認するための調査です。個人・法人の形態を問わず、税務申告を行うべき納税者のすべてが税務調査の対象になる可能性があります。

 

税務調査はいつ行われるかわかりません。しかし、税務調査が行われやすい時期や、税務調査の対象になりやすい納税者の特徴は存在します。

 

今回は税務調査の時期や、税務調査の対象になりやすいケースについて詳しく解説します。

【前提】税務調査がいつ入るか明確なルールや基準はない

前提として、税務調査の時期について明確なルールや基準は存在しません。3~10年に1回程度という考え方がありますが、あくまでも目安です。より高頻度で税務調査の対象になる可能性もあれば、一度も税務調査を受けないケースも存在します。

 

本記事の後半では税務調査の対象になりやすいケースの例を紹介しますが、それらも傾向に過ぎません。事業者をはじめ、税務申告を行うべき納税者は「いつ税務調査が来てもおかしくない」と考えるべきでしょう。

税務調査が実施されやすい時期

税務調査は時期を問わず行われる可能性がありますが、中でも特に実施されやすいタイミングは存在します。この章では税務調査が実施されやすい時期について、個人・法人それぞれ解説します。

【個人の場合】4~5月頃・8~11月頃

個人の場合、4〜5月および8〜11月頃に行われるケースが多いです。4~5月は個人の確定申告が一段落して落ち着く時期、8〜11月は税務署の人事異動が終わり新体制が整う時期と一致します。

 

税務署の事業年度は7月始まり・翌年6月終わりのため、7月に人事異動が行われて組織内部が大きく変化します。人事異動が完了して組織としての体制が整った後の8月あたりから税務調査が増える傾向です。

【法人の場合】決算の4~8ヵ月後

法人に対する税務調査は、決算の4〜8ヵ月後に行われるケースが多くみられます。日本は3月決算の会社が多いため、7月〜11月頃に法人を対象とした税務調査が増える傾向です。

税務調査が少ない時期とは

個人・法人ともに、2〜3月は税務調査が少ない傾向です。2〜3月は個人の確定申告期間で税務署の繁忙期に重なるため、ほかの月に比べると税務調査の実施件数は少なめとなります。

税務調査の対象になりやすいケースの例

税務調査の時期や頻度に明確なルールはありませんが、税務調査の対象になりやすい要因は存在します。この章では税務調査の対象になりやすいケースの例を5つ紹介します。

売上や利益の変動が大きい

売上や利益の変動が大きい事業者は、調査対象になる可能性が高いです。理由として以下の2つが挙げられます。

 

  • あまり起こらない事象のため、理由を把握する必要があるとみなされやすい
  • 会計処理の誤りや不正の可能性が高いと考えられる

 

特に、黒字状態が続いていたのに突然赤字になった場合は税務調査の対象になりやすいです。

事業規模が大きく納税額も多い

同業他社に比べて事業規模が大きく納税額が多い場合も、税務調査が入りやすいと考えられます。会計処理や税務申告の内容に少しでも誤りがあると、それだけで税額が大きく変わる可能性があるためです。

税務申告の内容に不審な点がある

税務申告の内容に不審な点がある場合も、税務調査が来やすいでしょう。具体的なケースとして以下の例が挙げられます。

 

  • 同業他社に比べて経費が極端に多く利益率が低い
  • 事業年度によって経費の内訳が大きく変動している
  • 確定申告書と別の書類(財務諸表等)で記載金額が異なる項目がある

 

これらはあまり起こらない事象であり、理由を明確にするために調査が実施される可能性が高くなります。

消費税の還付を受けた

消費税の還付を受けた翌事業年度も税務調査が行われる可能性が高いです。

 

消費税は売上税額(売上に係る消費税額)から仕入税額(仕入れに係る消費税額)を引いた額が納付税額になります。還付になるのは売上税額よりも仕入税額が多い場合のみで、発生頻度は低いです。

 

したがって消費税の還付がある場合、還付が適切なものであるかを確認するために税務調査を行う可能性が高くなります。

不正が多い業種である

税務申告の内容自体に不審な点がなくても、不正が多い業種は税務調査の対象になりやすいです。

 

国税庁の調査結果によると、1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種は以下の通りでした。

  • 経営コンサルタント
  • ホステス、ホスト
  • コンテンツ配信
  • くず金卸売業
  • ブリーダー
  • 焼き鳥
  • 太陽光発電
  • 内科医
  • スナック
  • 西洋料理

出典:国税庁「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

 

こちらは個人の所得税に関するデータであり、法人の申告漏れ金額が高額な業種は異なる可能性があります。

 

いずれにせよ、申告漏れ所得金額が高額で不正が多い業種は、それだけで税務調査の対象になる可能性が高いです。

「税務調査の対象になる=疑われている」とは限らない

税務調査が行われる旨の連絡を受けると、「不正を疑われているのでは?」「何か不審な点があったのでは?」と不安に思う人も多いでしょう。

 

確かに、不審な点がある納税者に対して税務調査が入りやすいのは事実です。前述のように、税務調査の対象になりやすい納税者の特徴も存在します。

 

しかし、税務調査の対象になったからといって疑われているとは限りません。税務調査は税務申告の義務がある納税者のすべてが対象になり得るものです。特に不審な点がなくても、税務申告を行う以上は調査対象に選ばれる可能性があります。

 

そもそも、日頃から適切な会計処理や税務申告をしていれば税務調査で指摘を受ける可能性は低いです。仮に意図的でないミスや漏れが見つかっても、指示通り修正すれば厳しい処罰にはならないでしょう。

 

税務調査を必要以上に恐れる心配はない旨を押さえておきましょう。

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