会社設立の相談先として複数の選択肢があります。窓口によって専門分野や業務内容が異なるため、相談したい内容に合う相談先を選ぶ必要があります。
とはいえ「各窓口の対応範囲がわかりにくい」「そもそも、相談先としてどのような選択肢があるか把握できていない」とお悩みの人も多いでしょう。
本記事では会社設立に関する相談先の選択肢や各窓口の対応範囲、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
会社設立について無料で相談できる窓口5選
はじめに、会社設立についての無料相談ができる窓口の選択肢を5つ紹介します。
商工会議所
商工会議所とは地域の商工業者によって構成される団体です。中小企業の支援や地域経済の活性化・発展を目的としています。
商工会議所は自由会員制ですが、会員にならなくても一部のサービスを受けられます。非会員でも受けられるサービスの1つが、創業や会社設立に関する相談です。必要な手続きや資金調達の方法など、幅広い内容の相談を受け付けています。
【メリット】
- 幅広い内容の相談を受け付けている
- ほかの起業家とのコミュニケーションや人脈作りにも活用できる
【デメリット】
- 専門的な内容や個別事例の相談はできない
- 相談できる時間が短い
よろず支援拠点
よろず支援拠点は国が設置する無料の経営相談所です。対応範囲は拠点によって異なりますが、会社設立に関する相談は多くの拠点で受け付けています。前述した商工会議所と同様に、基本的な内容について幅広く相談可能です。
【メリット】
- 基本的には回数制限が設けられていない
- 幅広い内容の相談が可能
【デメリット】
- 専門的な内容や個別事例の相談はできない
- 拠点によって対応範囲に違いがある
ワンストップ相談窓口Plus One
ワンストップ相談窓口Plus Oneとは政府系16機関が連携して創設したプラットフォーム窓口です。会社設立や起業をはじめ、資金調達、知財実用化、海外展開など幅広い相談・支援を受け付けています。
【メリット】
- さまざまな政府系機関が参加しているため、自社のフェーズや状況に合う支援の提案を受けられる可能性が高い
- 会社設立後の事業展開についても専門的な支援を受けられる
【デメリット】
- 問い合わせをしても、必ずしも参加機関からの支援やサービスを受けられるとは限らない
- 最初の問い合わせから返信までに1週間程度かかることがある
税理士会
税理士会とは税理士の指導・監督やさまざまな事業を展開する組織です。国税局の管轄区域ごとに設立されています。
多くの税理士会では無料相談会を開催しています。会社設立をはじめ、納税や税務申告、節税などの税務に関するさまざまな内容の相談が可能です。
【メリット】
- 税理士に無料で相談できる
- 税理士会によっては事前予約が不要
【デメリット】
- 相談時間が短い
- 原則として継続利用はできない
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は一般の金融機関の補完および国民生活の向上に寄与することを目的とした政府系金融機関です。
事業の1つとして創業企業の積極的な支援が挙げられます。創業に関するさまざまな情報提供やセミナーの実施、予約制の相談対応などを行なっています。
【メリット】
- 会社設立や創業について幅広い相談が可能
- 会社設立後の融資についても具体的な相談ができる
【デメリット】
- 相談できる時間が限られている
- 原則として事前予約が必要
【有料】会社設立について相談できる専門家4選
前章で紹介した無料の相談窓口は、いずれも幅広い内容の相談が可能です。しかし相談できる時間に限りがあるケースが多い点や、専門的・個別的な案件の相談ができない点がデメリットといえます。
相談したい内容が専門的な場合やじっくり相談したい場合は、専門家に相談するのがおすすめです。有料にはなりますが、個々のケースに合わせた細かなアドバイスやサポートを受けられます。
この章では会社設立について相談できる専門家について解説します。
税理士
税理士の主な業務内容は以下の通りです。
- 税務相談
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 経理代行
- 経営コンサルタント
- その他会計・税務に関する業務全般
会社設立そのものというより、会社設立後の各種手続きや会計・税務関係のサポートに強みをもちます。
【メリット】
- 会社設立の段階から将来の節税を見据えたアドバイスやサポートを受けられる
- 会社設立後に行う税務署等への届出の代行を任せられる
【デメリット】
- 会社設立手続き自体の代行はできない
- 税理士によって業種やサービスの得意分野の違いが大きい
司法書士
司法書士は登記業務や供託業務を独占業務とする国家資格です。定款作成や法人登記手続きなどの代行を任せられます。
【メリット】
- 会社設立手続きの代行を依頼できる
- 会社設立における法的な懸念を解消できる
【デメリット】
- 会社設立後の運営についてはサポートできないケースが多い
- 司法書士によって報酬の違いが大きく相場がわかりにくい
行政書士
行政書士は官公署に提出する書類の作成や提出代行、各種相談などを行う専門家です。定款の作成および認証、許認可申請の相談・代行ができます。
【メリット】
- 許認可業の申請代行が可能
- 法人登記の代行を除き、会社設立に関する幅広い相談や代行ができる
【デメリット】
- 法人登記の対応はできない
- 定款の作成や認証は専門業務ではないため、行政書士によっては不得意なことが有り得る
弁護士
弁護士は法律分野における最高峰の資格です。ほかの士業の独占業務を行うことも認められているため、会社設立に関するすべての手続きを代行できます。
【メリット】
- ほかの士業の独占業務を含めて会社設立に関するすべての手続きの相談・代行が可能
- 法律に関する専門的な相談が可能なため、権利問題や法的リスクについてのアドバイスやサポートも受けられる
【デメリット】
- ほかの専門家に比べて費用が高額になりやすい
- 経営実態や会社運営についての詳しい相談はできない
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