税務調査の注意点は?調査の流れや事前に押さえるべきポイント5点を解説

税務情報

税務調査に対して「何か疑われている場合に行われる」「税務調査では必ず指摘を受けてペナルティを課される」といったイメージをお持ちの人も多いでしょう。

 

結論として、税務調査を過度に恐れる必要はありません。ただし厳格な調査が行われるため、事前にある程度の準備や対策を行う必要があるのも事実です。イメージだけで恐れるのではなく、税務調査について理解を深めた上で、適切な対策を行うべきといえるでしょう。

 

今回は税務調査の流れや事前に押さえるべきポイント・注意点について解説します。

税務調査の種類

税務調査には「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

任意調査 強制調査
調査対象者 明確な基準なし 悪質な不正や脱税の疑いがある納税者
事前連絡の有無 ほとんどのケースで有
調査を行う者 税務署職員 国税局査察部

強制調査は不正の疑いが強い納税者を対象としたものであり、事前通知はなく拒否もできません。犯罪捜査の一種であり、特殊な税務調査といえるでしょう。単に「税務調査」と呼ぶ場合は任意調査の方を指すのが一般的です。

 

本記事でも特に断りがない限り、任意調査の意味合いで「税務調査」という表現を用います。

税務調査の流れ

税務調査の流れは大きく5つの工程に分けられます。

1.事前通知

前述のように、任意調査が事前通知なしで行われることはほとんどありません。基本的に事前通知が届きます。

 

事前通知の内容は以下の通りです。

 

  • 税務調査を実施する旨
  • 調査日時(提示された日時の都合が悪ければ調整可能です)
  • 対象税目
  • 対象となる課税期間
  • 調査目的
  • 調査場所

 

事前通知は電話もしくは文書で行われます。過去に提出した税務書類等に税務代理権限証書を添付していた場合は、納税者本人ではなく税理士に連絡が入ります。

2.税務調査に向けた準備

税務調査の事前通知から実施調査までには1〜3週間程度の余裕があるのが一般的です。この期間に税務調査に向けた準備を行います。

 

事前に行うべき準備として以下の例が挙げられます。

 

  • 調査対象となる確定申告書や財務諸表、関連書類の準備
  • 税理士との打ち合わせ
  • 当日聞かれる質問の想定および回答準備

 

過去に提出した税務書類の控えだけでなく、帳簿や証憑などの書類も必要です。株主総会議事録や経理規程、会社の組織図などの書類も用意する必要があります。会計関連の資料だけでなく、会社運営に関係する重要書類はすべて準備しておくのが良いでしょう。

3.実施調査

実地調査は一般的に2〜4日程度行われます。事業規模が大きい・調査対象が広いほど実施調査にかかる日数が増える傾向です。

 

実施調査では最初に世間話やインタビューが行われます。世間話は調査とは無関係な雑談に思えるものですが、実は情報収集や探りを目的としたものです。プライベートな内容を話し過ぎるのは避けるのが無難です。

 

インタビューでは会社概要や事業の状況など基本的な事項を尋ねられます。書類との矛盾がないかをチェックするためにも、細かく繰り返し行われる可能性が高いです。

 

インタビューがある程度終わると書類のチェックに入ります。調査官からの質問や追加書類の提示を求められたらすぐに対応しましょう。

4.質問や指摘への対応

 

実地調査後も税務調査は続きます。調査官は調査結果を持ち帰り、内容の精査や修正申告の必要性の検討などを行います。この段階でも質問や書類提示が求められる可能性があります。

5.調査結果の連絡

実地調査から調査結果の連絡が来るまでの目安は2週間から1ヵ月程度です。調査結果は3つのパターンに分けられます。

 

1つ目は「申告是認」です。税務申告の内容に誤りがなく、修正不要なことを意味します。

 

2つ目は「修正申告」です。過去の税務申告に誤りがあったものの、税務署の指摘に従って修正申告を行うことを意味します。

 

3つ目の「更正」は、納税者が故意に修正申告を出さない場合に行う課税処分です。税務署側が納税額を決定し、不足分の税金の支払いを求めます。

税務調査のポイント・注意点

税務調査のポイントおよび注意点を5つ紹介します。

税務調査を警戒し過ぎない

税務調査に対して怖いイメージをお持ちの人も多いでしょう。しかし、任意調査は誰もが対象になり得るもので、必ずしも疑われているわけではありません。過去に適切な会計処理や税務申告を行なっていれば特に指摘を受けず、追徴課税や指導もなく終了します。

 

税務調査を警戒し過ぎる必要がない旨を押さえておきましょう。

税理士と打ち合わせをしておく

税務調査が決まり次第なるべく早く税理士と打ち合わせをするのが理想です。

 

納税者だけの立会いも可能ですが、専門的な質問や手続きすべてを自身で対応するのは容易ではありません。顧問税理士がいない場合でも、税務調査の立会いができる税理士を探して依頼するのがおすすめです。

必要書類を漏れなく用意する

書類の不備や漏れがあると調査がスムーズに進まず、手間や時間が増大する恐れがあります。過去に提出した書類の控えはもちろん、少しでも関係ありそうな書類はすべて用意するのが安心です。必要書類については税理士の指示を仰ぐのが良いでしょう。

誠実・正直に対応する

税務調査で最も避けるべきなのが嘘をつくことです。聞かれた質問に対して誠実・正直に答えましょう。当然、書類の隠ぺいや改ざんも厳禁です。

 

たとえミスがあったとしても、誠実な対応をすれば最低限のペナルティで済みます。反対に資料の隠ぺい・改ざんや嘘の回答をした場合、附帯税が重くなる恐れや、税務署に目をつけられる恐れがあります。

聞かれたことに対して正確に回答する

聞かれたことに対して正確に回答することも大切です。冗長な答え方や質問意図に沿わない回答、曖昧な返答は不信感を与える原因になります。

 

もしその場ですぐに回答ができない場合、一度持ち帰り改めて答える旨を伝えましょう。

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