創業融資の審査とは?審査で重視されるポイントや対策について解説

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創業前および創業直後の時点では事業実績がありません。そのため創業融資の審査では事業実績に代わり、創業計画や代表者自身の情報などをチェックします。

事業が上手くいくかは開業資金の調達の成否に大きく左右されるでしょう。そのため創業融資の利用を検討する創業者は、融資審査に向けた対策が必須です。

今回は創業融資を申し込む上で知っておきたい、審査で重視されるポイントや審査対策について解説します。

創業融資の審査で重視されるポイント

前提として、融資審査のチェック項目は非公開です。そのため、審査でチェックされる要素や基準を正確に把握することはできません。

ただし、創業融資の必要書類や事例から審査で重視される要素の推測は可能です。以下では創業融資の審査で重視されると考えられるポイントを4つ紹介します。

創業計画の内容

創業融資の申し込み時は創業予定の事業についてまとめた書類「創業計画書」の提出が必要です。事業内容や取り扱う商品・サービス、収益や費用といった事業の見通しなどを記載します。

創業計画の内容について、特に重視されるポイントは以下の4点です。

  • 創業に向けた情報収集や準備が十分であるか
  • 事業に対する意欲や熱意があるか
  • 創業計画の根拠や妥当性、実現可能性があるか
  • 問題なく返済できるだけの収益を見込めるか

単純な数字だけでなく、事業に対する準備の程度や金額の根拠など細かな部分までチェックした上で総合的に判断されます。

代表者の経歴

日本政策金融公庫の創業計画書フォーマットには、代表者の経歴として以下の情報を記載する必要があります。

  • 経営者の略歴(勤務先だけでなく、担当業務・役職・身につけた技能の記載も必要)
  • 過去の事業経験(事業経験なし、現在も継続中、すでにやめているの3つから選択)
  • 取得した資格
  • 許認可
  • 知的財産権等

代表者の経歴のうち、特に重視されるのは創業予定の事業に関する経験の有無です。経験がまったくない場合、創業融資の審査ではマイナス評価につながる恐れがあります。

自己資金の額

事業における自己資金とは、事業のために自分で用意したお金のことです。

一般的に、自己資金は融資希望額の3割程度を用意するのが目安といわれています。自己資金が少ないほど、審査で不利になる恐れや融資額が少なくなる恐れがあります。

なお、「資本金=自己資金」ではありません。自己資金と認められるのは、以下の2つを満たすお金のみです。

  • 出所が明確である
  • 借入金ではない旨が証明されている

一般的に、自己資金の額を確認するために申込者の通帳が用いられます。資産の売却や贈与等によって得たお金がある場合、お金の出所を証明する書類として各種契約書も用意するのが理想です。

代表者の信用情報

創業融資では申込者である代表者の信用情報も確認されます。特に重視される要素は以下の2つです。

  1. 申込時点における他社からの借入状況
  2. 遅延、滞納、債務整理など異動情報(事故情報)の有無

他社からの借入が多い場合、新たな融資は返済負担が重くなりすぎると判断されて審査に通過できない可能性が高いです。ただし事業用の融資とそれ以外の融資を分けて扱うケースも多くみられます。

注意するべきなのが2の事故情報です。信用情報として異動情報が記録されている場合、新たな信用取引は原則としてできません。創業融資の契約に限らず、融資全般やクレジットカードの契約、携帯電話の分割購入等も不可能になります。

創業融資の審査に向けた対策

創業融資の審査に向けた対策を3つ紹介します。

根拠と妥当性を意識した創業計画を作る

創業融資の審査で最も重要性が高いのは創業計画です。そして、創業計画を作る上で特に注意するべきなのは根拠と妥当性を意識することといえます。

日本政策金融公庫の創業計画書のフォーマットには、事業の見通しを記載する欄があります。具体的な記載項目は以下の通りです。

  • 売上高(創業当初、軌道に乗った後の両方 以下「利益」まで同じ)
  • 売上原価
  • 経費
  • 利益
  • 売上高、売上原価、経費の計算根拠

金額そのものだけでなく計算根拠の記載も必要です。すなわち楽観的な金額や希望的観測を書いても、見かけの金額が良いだけで審査での高評価にはつながりません。むしろ実現可能性の低さや見通しの甘さからマイナスにつながる恐れがあります。

創業計画を作る際は見かけを良くしようとするのではなく、根拠と妥当性を意識しましょう。

矛盾を起こさないよう注意する

創業計画書と面接で矛盾を起こさないよう注意も必要です。融資審査に向けて、創業計画書の内容を前提とした受け答えをするための面接対策を行うのが良いでしょう。

創業計画書には創業の動機、取り扱いサービス、事業の見通し等さまざまな項目が存在します。細かい情報を書く必要もあるため、何を書いたか忘れてしまう事態も起こり得るでしょう。面接の緊張感から自分でも想定外のことを答えてしまう可能性もあります。

しかし、創業計画書と面接における受け答えの内容の矛盾は大きなマイナスとなる要素です。準備不足や事業に対する理解・認識が甘い等の判断につながります。

創業計画の内容を頭に入れた上で、何度か本番を想定した面接練習を行うことをおすすめします。

融資支援に強い専門家のサポートを受ける

創業融資の審査に通過する可能性を上げるためには、融資支援に強い専門家のサポートを受けるのが安心です。

創業や融資の経験がない人が、創業融資の審査について具体的にイメージをするのは難しいといえます。審査に向けた対策をしようと考えても、そもそも何をすれば良いか、何が対策になるのか悩んでしまう可能性も高いです。

融資支援に強みをもつ専門家は、創業融資に関する豊富な経験やノウハウを有します。創業融資の効果的な対策も把握しているため、的確なアドバイスやサポートが可能です。

創業融資の審査に向けた効果的な対策のためにも、専門家の力を借りることをおすすめします。

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