土地の縄伸びとは?相続税の支払い時に注意するポイントを解説

不動産

売買や相続の際に縄伸びが発覚し、問題になるケースは多々あるのです。代々受け継いできた土地や、山林を相続したときに相続税で困ってしまうこともあるでしょう。縄伸びの定義となぜ縄伸びが起きるのかの背景、相続した土地が縄伸びしていたときの相続税の計算や注意点について解説します。

なぜ縄伸びがおきるのか?

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土地の縄伸びが相続税にどのように関連しているのか、その重要性を理解しておくことが大切です。縄伸びの概念と相続税支払い時のポイントを深堀してみましょう。

縄伸びとは?

縄伸びや縄縮みは測量用語で、地積測量図や公図、土地登記簿のような役所で管理されている文書と実際の土地の面積が異なる現象のことを示しています。なぜ縄伸びが発生するのか、原因は江戸時代までさかのぼります。当時土地を測定するときには測量用の縄で囲む手法で面積を算出していました。しかし、この縄が使い込まれて伸びきってしまっていたり、濡れて縮んだりしていると実状の面積と測量した面積のずれがおきるのです。土地登記簿に記載がある面積より縄が長く伸びている場合を縄伸び、短く縮んだ状態を縄縮みというのです。縄伸びとは、実際の土地面積が土地登記簿に載っている土地面積より大きいことを言います。

縄伸び率とは?

土地登記簿の面積を基準に、実際の面積がどのくらい増加しているのかの割合を示したものは縄伸び率と言う指標で示すことができます。例えば、実測の面積が360㎡で、地積測量図の面積が300㎡の土地の縄伸び率は以下のように計算されます。

  • 360㎡÷300㎡=1.2

この土地は、縄伸び率は20%、あるいは2割増しと表記されます。

縄伸びしやすい土地とは?

農地や山林は繫華街の町の中心部と比べ、縄伸びが発生しやすい傾向にあります。特に山林は、縄伸び率が100%を超えるケースも珍しくありません。その原因は、傾斜地の測量は技術的に難しかったことに加え、土地活用の考え方も関与しています。もともと山林は収益性が低いので年貢の取り立てを公平にするために、縄伸び率を大きくとるように設定してきた背景があるのです。一方、現代の技術で測定された新しく土地区画整理事業が行われた土地、直近に売買などで地籍更正登記がおこなわれた土地、分筆登記がおこなわれた土地は、地積測量図が更新されるため土地登記簿と実状の面積が一致し縄伸びがありません。

土地を相続するときに押さえておきたいポイント

まとめ

土地を相続する際には、相続税に関する知識が不可欠です。特に「縄伸び」について理解することは、支払う相続税額を大幅に左右する要因となります。相続税を最小限に抑えるために、土地相続時に押さえておきたいポイントについて解説します。

押さえておきたい相続税の計算方法の基本

土地や家屋、その他財産を相続した時の相続税は、下記の式で計算することができます。

  • 課税遺産総額=相続税の対象となる財産ー基礎控除
  • 基礎控除=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
  • 相続税額=課税遺産総額×相続税率

土地の相続税計算方法

土地の相続税を計算する方法は2種類あり、それは「路線価方式による評価」と「倍率方式による評価」です。路線価方式は、国税庁が定める路線価という数字を使って土地を評価する方法で、倍率方式は、固定資産税の評価額に既定の倍率をかけて算出する方法です。どちらも土地登記簿に記載のある面積で計算します。

縄伸びがある土地の相続税の計算方法と注意点

相続税を申告する際、土地面積は土地登記簿の記載の地積を使用します。そのため、一部の場合を除いて実測する義務はありません。このとき頭に入れておきたいポイントとして、縄伸びがある土地では、土地自体の評価額が高いので、相続税が高くなることが挙げられます。

山林などあきらかに縄伸びがあるとみられる土地の場合

前述のとおり山林等は縄伸び率が100%を超えることもあります。このような土地を相続した時には、以下のような方法で実際の面積を確認し、計算する必要があります。

  • 航空写真を利用した地籍の測定
  • 立木の数など土地の活用状況の実地調査の実施
  • 周辺の平均的縄伸び率の適応

これらの方法を適用しても実際の面積との乖離が大きいとされる場合は、測量士などの専門家に依頼して、実測をしてもらいましょう。

土地活用で地積更正登記をおこなった場合

相続後3年以内に土地を売却すると、譲渡取得税を抑えることができる取得費加算の特例や、相続空き家の特例を利用することができます。売買時には必ず測量をおこなうので、はじめて縄伸びしていたと気づくケースがあるでしょう。売却後、登記情報は税務署に共有されます。税務署が課税額が異なっていると判断したとき、指摘が入ることがあります。この場合、過去にさかのぼって修正申告をしなければいけません。修正申告には、新たに納めることになった税額のほかに、過少申告加算税または重加算税がかかるため、想定外の出費となるでしょう。また、土地を活用するために分筆する場合、元の土地全体を測量することが義務付けられています。縄伸びと判明したら法務局にて地積更正登記をおこないますが、これにより、課税台帳が修正されるため、翌年度からの固定資産税が増加します。

まとめ

共有名義の不動産を相続する手続き

山林は縄伸び率が高く、100%を超えるケースも少なくありません。縄伸びがある土地を相続した場合、相続税を申告する場合には実測の必要はありませんが、土地活用を考慮して分筆や売買をおこなうときには実測が必要となります。実測により縄伸びが判明した場合は修正申告をしなければいけません。トラブルになる前に一度専門家に相談しましょう。

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