住宅購入時に、親族から資金を提供してもらうと贈与税がかかります。親族からの資金に相続税がかかってしまうと、手元に残るお金が減ってしまいます。そのため、住宅購入時に資金を援助してもらう際の贈与税を非課税にする方法を知っておきましょう。
住宅取得等資金贈与の非課税制度とは
住宅取得等資金贈与が非課税になる制度を理解すれば、自分が住宅を購入する際に建てた方が有利になる家の種類や制度を使える時期がわかり、行動を起こす参考にできるでしょう。
住宅取得資金とは
住宅取得資金とは、住宅を購入する時に使用する資金のことです。住宅取得資金は、高額になりやすいため、親や祖父母に資金提供をしてもらう場合があります。提供してもらう資金のことを住宅取得等資金贈与と言い、贈与税がかかってしまいます。控除を使うと最大1,000万円を控除で受けられるため、使用するとよいでしょう。
省エネ住宅と一般住宅
住宅取得等資金贈与が非課税になる制度を使う際に、住宅の種類によって受けられる控除額が変わります。受けられる控除額は、以下のとおりです。
住宅の種類 | 控除額 |
省エネ住宅 | 1,000万円まで |
一般住宅 | 500万円まで |
省エネ住宅は、以下の3つのどれかに当てはまる必要があります。
- 断熱等性能等級が5以上もしくは一次エネルギー消費量等級が6以上の住宅
- 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)が2以上もしくは免震建築物
- 高齢者等配慮対策等級(専用部分)が3以上の住宅
省エネ住宅以外の建物を一般住宅と言います。省エネ住宅だと控除額が増えるだけではなく、環境にも優しいです。
制度は令和8年まで
令和6年度の税制改正で、住宅取得等資金贈与が非課税になる制度の適用期間は令和8年12月31日までとなりました。そのため、住宅購入の予定がある人は、早めに計画を立てておきましょう。
住宅取得等資金贈与の非課税を受けるための要件
住宅取得等資金贈与が非課税になる制度を受けるには、要件があります。要件を満たしていないと制度を受けられないため、要件の内容を見て、制度を受けられるようにしましょう。要件は対象者と対象物に分かれます。
対象者の要件
対象者への要件は、以下のとおりです。
- 資金提供してもらった年の1月1日で18歳以上
- 資金提供してもらった年の合計の所得金額が2,000万円以下
(対象となる家屋の床の面積が40平米以上50平米未満の場合は、同1,000万円以下)
- 住宅取得等資金贈与が非課税になる特例を令和3年までに受けたことがない
- 日本国内に住所がある
対象者の範囲が限られるため自分に当てはまるか、確かめてください。
対象物の要件
対象物の要件は、以下のとおりです。
- 日本国内で住宅用の家屋
- 登記簿上で床の面積が40㎡以上240㎡以下
- 床の面積の半分以上を住居として使用
中古住宅は要件がさらに追加されるため、気になる人は国税庁のホームページを確認しましょう。新築と中古で要件の量が変わるため、間違いがないようにしましょう。
必要書類
住宅取得等資金贈与が非課税になる制度を受けるには、必要な書類があります。書類が不足してしまうと受けられなかったり、時間がかかってしまうため見ておきましょう。必要書類は、以下のとおりです。
- 贈与税の申告書
- 受け取る人の戸籍謄本
- 源泉徴収
- 請負契約書
- 登記事項証明書
- 耐震基準適合証明書
- 住宅の性能を証明できる書類(省エネ住宅のみ)
発行までに時間を要してしまう書類もあるため、前もって準備できる書類は用意しておけると比較的余裕をもって手続きを進められるでしょう。
住宅取得等資金贈与の非課税を受ける時の注意点3選
住宅取得費等資金贈与が非課税になる制度を受ける際に、注意点があります。注意点を押さておかないと非課税を受けられない問題が発生してしまうこともあるため、問題が起きないように確認しておきましょう。
制度を受けられるのは直系尊属からのみ
住宅取得等資金贈与は、直系存尊属からのみ受けられます。そのため、夫が自分の親から受け取ることはできますが、妻が夫の親から受け取ることはできません。夫は夫の親から、妻は妻の親から受け取ることはできます。
住宅ローン控除が減る可能性がある
住宅ローン控除とは、新たに家を建てた時に年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13円間控除できる制度です。住宅ローン控除と住宅取得等資金贈与が非課税になる制度は併用が可能ですが、住宅ローン控除の額が減ってしまうことがあるため注意しましょう。住宅ローン控除は、贈与を受けた金額を引いて計算します。例えば、以下のような計算で想定します。
- 住宅価格:3,000万円
- 贈与で受け取った金額:1,000万円
- フルローンで購入
住宅取引等資金贈与が非課税になる制度を使わない場合の計算は、以下のとおりです。
- 3,000万円×0.7%=21万円
住宅取引等資金贈与が非課税になる制度を使った場合の計算は、以下のとおりです。
- (3,000万円-1,000万円)×0.7%=14万円
非課税の制度を使うと使わないとで控除額に7万円の差がでるため、総合的に判断しましょう。
小規模宅地等の特例は使えない
小規模宅地等の特例とは、被相続人が使っていた自宅を残された家族の生活の基盤にできる特例です。小規模宅地等の特権を使えば、相続税がかかる評価額を最大80%まで下げられるため、相続税の負担を減らせます。しかし、小規模宅地等の特例の条件として、受け継ぐ人が自分の自宅を持っていないことが条件です。そのため、住宅を購入してしまったら小規模宅地等の特権は使えなくなってしまいます。
まとめ
本記事では、住宅取得等資金贈与を非課税にする方法をまとめました。住宅取得等資金贈与制度を活用するためには要件や必要書類があります。これらを満たさないと、最大1,000万円の非課税を受けられません。そのため、要件を確認し、制度を活用するために早めに準備をしておきましょう。
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