令和6年度の税制改正により、定額減税が実施されることになりました。それに伴い「住宅ローン控除に影響が出るのでは?」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。まずは、定額減税と住宅ローン控除を正しく理解することが大事ですが、詳細を理解できていないという方も多いでしょう。そこで今回は、定額減税と住宅ローン控除の概要と、定額減税が住宅ローン控除に影響を及ぼすのかどうかを詳しく解説します。
定額減税とは
先述したとおり、定額減税は令和6年度の税制改正により実施が決まった制度です。定額減税が導入される背景には、物価高が大きく関係しています。総務省統計局の発表によると、令和6年2月分の消費者物価指数の総合指数は106.9となっており、前年同月比で2.8%上昇しています。厚生労働省は、賃上げ額、賃上げ率はコロナ禍前の令和元年を大きく上回ったと発表しましたが、物価高が国民に大きな影響を与えていることは間違いありません。そこで、少しでもその負担を緩和するために令和6年の6月から始まるのが定額減税です。定額減税を簡単に説明すると、1人あたり所得税3万円、住民税1万円の計4万円が減税されるというものです。しかし、定額減税は全員が対象者ではないため、対象者となる方の基準を解説します。
定額減税の対象者とは
定額減税を受けるための基準は以下のとおりです。
- 納税者本人と同一生計配偶者及び扶養親族(居住者に限る)
- 令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下
例えば、合計所得金額の条件を満たしている、夫婦と子ども3人の5人世帯は合計20万円減税されます。では、所得税と住民税はそれぞれどのように減税されるのでしょうか。その仕組みを解説します。
所得税が減税される仕組み
給与所得者、公的年金等の受給者、事業所得者は、それぞれ減税されるタイミングと方法は異なりますが、今回は給与所得者を例にあげて解説します。給与所得者の場合は、2024年6月1日以降に支払われる給与や賞与などから減税されます。先述したとおり、所得税の1人あたりの減税額は3万円です。そのため、単身者の毎月の所得税が1万円だったとすると、6月の所得税は0円となり、残りの2万円は翌月以降に繰り越され、累計3万円に達するまで減税が続きます。
住民税が減税される仕組み
住民税は2024年6月には徴収されず、2024年7月から11ヶ月かけて定額減税後の税金が徴収されます。先述したとおり、住民税の1人あたりの減税額は1万円です。そのため、単身者の住民税が4万円だったとすると、4万円から1万円を引いた3万円を11ヶ月で割り、毎月2,727円が徴収されます。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して新築住宅や中古住宅の購入、リフォームなどをおこなう場合、最大13年間、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除する制度です。所得税から控除できない場合には、翌年の住民税から控除できるようになっています。住宅ローン控除の適用条件には以下のようなものがあります。
- 合計所得金額が2,000万円以下
- 省エネ基準に適合している
- 住宅ローンの返済期間が10年以上残っている
適用条件は他にも複数あるため、詳しくは国土交通省のホームページをご覧ください。
定額減税は住宅ローン控除に影響を及ぼす?
そもそも、なぜ定額減税が住宅ローン控除に影響を及ぼすと捉えられてしまったのでしょうか。その理由は、先述したとおり、定額減税が所得税、住民税を減税する制度になっているからだと考えられます。住宅ローン控除も所得税、住民税から控除される仕組みとなっているため、定額減税によって所得税、住民税が減税されてしまうと、本来受けられるはずだった分の住宅ローン控除の恩恵を受けられなくなると捉えられたのでしょう。しかし、実際は定額減税は住宅ローン控除に影響を及ぼしません。その理由を解説します。
定額減税よりも住宅ローン控除後の方が優先順位が高い
定額減税は、住宅ローン控除後の金額に適用されます。つまり、住宅ローン控除の方が優先順位が高いため、受けられる恩恵が無駄になることはありません。ちなみに、住宅ローン控除を受けた上で定額減税額を満たさない場合には、残った金額は1万円単位で切り上げられ給付金として給付されます。例えば、1.7万円残った場合には2万円が給付されます。
税務関係でお悩みの際は、「佐久間会計事務所」に相談しよう!
賃金は上がらないまま物価高を強いられ、大なり小なり生活に影響を受けている人が多いのではないでしょうか。だからこそ、少しでも負担を減らせる住宅ローン控除や、定額減税を無駄にしたくない、しっかりとその恩恵を受け切りたいと考える人が多いはずです。定額減税は1回きりの措置となっており、住宅ローン控除も2025年12月31日までです。それ以降のことは決まっていませんが、経済状況や世論も加味しながら、内容や期限は変わっていく可能性が高いといえるでしょう。生活に密接していることだからこそ、最新の情報をチェックすることが大切です。
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