家族を相続で困らせない不動産の生前対策

相続

被相続人が亡くなると、相続人である遺族は10カ月以内に相続申告と相続税の納付をせねばなりません。被相続人の財産を調べて相続人同士で話し合って、というのは大変なことです。相続税法に詳しい方はなかなかいらっしゃらないでしょうし、相続人同士のトラブルに発展する可能性もあるので、専門家である税理士に依頼するケースが多いです。

2015年には大きな税制改正があり、基礎控除額が大幅に下げられました。これによって相続税の申告義務がある相続人がかなり増えました。弊所でも相続申告のお客様が増えたことを実感しています。

そして昨今は「生前整理」や「終活」といった活動が広く知れ渡り、関連セミナーも盛況だと聞いています。徐々に相続税対策を意識する方々が増えてきて、「生前対策はお金持ちがやるもの」というイメージは薄れつつあるようです。

不動産を多数所有しているなど資産の多い方は、相続税を心配されているかと思います。

この記事では「不動産の相続」をテーマに生前対策を3つ、ご提案していきます。

相続税の評価が高い資産を評価が低い不動産に変えて節税

具体的な失敗事例とその回避方法

近年の好調な株式市場や新NISAの登場で、幅広い世代で投資ブームが起きています。アベノミクスから大きく資産を増やしてきた方もいるのではないでしょうか。

新NISAもiDeCoも利益は非課税ですが、相続の対象になれば相続税がかかります。現金と違って価格が変動する株式ですが、現金と同じく評価額が高いため、評価額が低い不動産にかえて相続に備える対策があります。

相続税法では土地は路線価を基準に評価額を計算しますが、上に建物があると固定資産税が基準になります。すると、土地は市場価格の70〜80%であるのに対し、建物は新築価格の50〜70%まで下がります。

さらに賃貸物件など事業用不動産にすれば、より評価額が下がるだけではなく、小規模宅地等の特例を受けて半分ぐらいまで評価額を下げることもできます。

生前贈与が改正?2024年の変更後のポイントと注意点を解説!

親族と同居して小規模宅地等の特例を活用

不動産の名義変更とは?

二世帯住宅などで被相続人と相続人が同居している場合、小規模宅地等の特例が適用され、住居の場合は、敷地面積330㎡までの部分において相続税を80%も減額することができます。

小規模宅地等の特例が適用される相続人には3つの要件があります。

1.被相続人の配偶者であること

2.被相続人の生前に同居していた親族

3.被相続人と別居していたが、持ち家に住んでいない親族

これらの要件には1の配偶者がいれば、特例は配偶者に適用され、配偶者がいなかった場合、2の同居親族に適用されるというように、1〜3の優先順位があります。したがって、配偶者のいない被相続人が一人暮らししていた場合は、3の人が特例の適用を受けられるということです。

特に2と3の要件については詳しい定めがありますので、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

適用を受けるために気をつける点も3つあります。

・適用されるには相続申告が必要

・申告期限である相続の発生から10カ月後まで売却してはならない

・二世帯住宅を区分所有登記をしてしまうと、原則として適用できない

節税の点で魅力的な小規模宅地等の特例ですが、適用条件を満たしているかをきちんと確認しておきましょう。

「小規模宅地の特例」完全ガイド!メリットからデメリットまで解説!

遺産分割がしづらい不動産を現金に変えておく

被相続人が多数の不動産を所有していた場合、相続人は自分がもつ現金から多額の相続税を納付しなければならないことがあります。事前になにも対策をしなかった場合、相続人がなんとか納付したあとに経済的に不安な状態になったり、納付のために思い出のある不動産を安値で売却せざるをえなかったりということが考えられます。

10カ月以内に納付することが難しい相続人を対象に延納や物納といった納付方法もあるのですが、延納は利子税がかかりますし、物納はすべての人ができるわけではありません。

都心の区分住宅の不動産価格の値上がりが目立ちますが、住宅地の多い地方でも不動産価格の高止まりが続いています。相続した後の使い道がない不動産は特に、不動産市場が好調な時期や買いたい人がいるうちに売却することをおすすめします。

相続した不動産の名義変更とは?手順や費用を徹底解説!

もし相続人が管理できない、売れない土地を相談したら

詳しい方だと国庫帰属制度で申請すればよいのでは?と思われるかもしれません。国庫帰属制度は令和5年からスタートした、相続人がいらない土地を国に引き取ってもらう制度です。

しかし、申請に土地一つ当たり14,000円の費用がかかりますし、行政書士や司法書士に依頼するとさらに費用がかさみます。そして国から承認されると、申請した相続人は10年分の土地管理費用を納めなくてはいけません。

管理することができない、または不要な土地はできるなら売却しておくか、譲渡または寄付で必要としている人に活用してもらう道を生前から探しておくと、相続人が困ってしまう状況を防ぐことができます。

不動産オーナーは税理士に依頼するべきか?メリット・デメリットを解説!

「佐久間会計事務所」で生前対策について相談しよう!

生前対策は十人いれば十通りのやり方があります。決まった正解はなく、お客様とご家族が話し合って正解を見つけるお手伝いをするのが弊所の役割です。

佐久間会計事務所は相続申告はもちろん、不動産オーナー様の支援や2次相続を踏まえた生前対策のご提案などに強みをもっております。

面談ではお客様のご希望やお気持ちをヒアリングした上で、生前対策のご提案をさせていただきます。また、遺言を残されることをご希望される場合は司法書士のご案内もできますし、生命保険の活用をお考えの場合は保険商品のご提案もできます。

生前対策をお考えの方は、どんなに小さなことでもお気軽にお問い合わせください。

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