会社の設立や登記はおよそ1ヶ月で終わるものの、たくさんの書類を短期間に作成しなければなりません。株式会社や合同会社など会社の種類ごとに提出する書類は異なりますが、ここでは全ての種類の会社に共通して提出しなければならない書類を紹介します。
会社設立の大まかなフロー
まずは会社設立の大体の流れについてですが、株式会社を設立する際には発起人を決めなくてはなりません。発起人とは、会社設立にあたっての資本金の出資や定款の作成を行う人物を指します。
次は会社に関わる重要事項を決めなくてはなりません。ここでの重要事項とは、会社の名称や所在地、事業内容、出資額、事業年度などです。そして、これらの情報をもとに定款を作成します。定款とは会社のルールのようなもので、会社設立にあたって非常に大切です。公証人より定款が法令上問題がないかチェックを受けて認証を受ける必要があります。
その後、発起人は引き受けた株数に相当する金額を資本金(出資金)として銀行口座に払い込みます。出資金は現金でも有価証券や車といった現物でも構いませんが、大切なのはその際に証明書を作成することです。
その証明書には会社印が必要なため、事前に印鑑を作っておきましょう。また、現金を銀行口座に振り込む場合は、まだ会社登記が済んでいないため会社の口座ではなく個人の銀行口座となる点に注意しておきましょう。
これらのフローが完了したら、次は会社登記の申請です。必要書類を全て揃えたら、会社の所在地を管轄する法務局にて会社登記の申請を行います。申請書類は法務局で審査され、内容に問題がなければ7〜10日程度で登記申請が完了し、会社登記を申請した日が会社設立日となります。
なお、会社設立から登記まではトータルでおよそ1ヶ月ほどかかります。短い間のうちにやるべきことが多いため、ひとつのフローに余計な体力・気力を注がず、集中して早めの行動を起こすことが必要です。
会社設立で必要な書類
会社設立にあたって必要となる書類は10種類あります。また、全ての書類を決められた順番に並べて提出する必要があります。設立する会社が株式会社・合同会社・合資会社などの種類ごとに提出書類が異なるため、ここではすべての種類に共通して必要な書類について解説します。
定款
定款とは、会社名や所在地、事業の目的など、会社を運営する基本的なルールを定めた書類です。会社を設立するにあたって必要な書類のなかでも一番手間がかかる書類と言われています。
記載する内容は「絶対的記載事項(書き漏れがあると無効になる)」「相対的記載事項(記載することで効力が生じる)」「任意的記載事項(定款に記載しなくても株主総会で決められる)」の3種類があります。
そのなかでも必ず記載が必要な「絶対的記載事項」で記載すべき項目としては、会社名や本店所在地、事業の目的、設立する際の資本金、発起人の氏名や住所、発行可能な株式総数(株式会社のみ)です。
定款を作成する際は、基本的にA4サイズの用紙にパソコンで横書きをします。手書きでも大丈夫です。公証役場への提出用、登記用、控えの3部を作成する必要があります。定款を作成したら公証役場へ持参して公証人の認証を受けなければなりません。なお、公証役場では事前相談ができるため、定款の内容などについて不明点がある場合はそこで確認しましょう。
設立登記申請書
設立登記申請書には、設立する会社の情報を記載します。会社設立にあたって定めた会社の基本情報が記載項目となります。具体的な項目として、「会社名(商号)」「会社所在地」「告示をする方法」「目的」「発行可能株式総数」「発行済株式の総数並びに種類及び数」「資本金の額」「株式の譲渡制限に関する規定」「役員に関する事項」「添付書類の一覧」「登録免許税」などが挙げられます。
登録免許税納付用台紙
登録免許税納付用台紙とは、会社の登記手続きにあたって必要な免許税を納付するために必要な書類です。登録免許税として資本金に応じた金額を納付しなければなりません。通常、登録免許税は資本金の1000分の7の金額と言われていますが、その税額が15万円未満となる場合には15万円となります。必要な税額分の収入印紙をA4サイズの台紙に貼り付けて提出します。
印鑑届出書
印鑑届出書は会社の実印を法務局に申請する書類です。個人の実印と同様に会社も法人格を持つために実印がなくてはならず、法人用の銀行口座開設や不動産の売買契約で用います。
登記すべき事項を記載した書類やデータ
申請書のほかにも、登記する内容をまとめた書類やデータが必要となります。書類に限らずCD-RやCD-ROM、DVDでの提出も可能です。
各就任承諾書
代表取締役や取締役といった役員に就任したことを承諾する書類が、就任承諾書です。発起人以外の人が就任する場合に必要となります。
払込証明書
払込証明書とは、資本金を振り込んだことを証明する書類です。払込証明書は払込内容や代表取締役の氏名が確認できるのはもちろんのこと、銀行口座の通帳の表紙、表紙裏、払込内容が記帳されているコピーが必要です。資本金を払い込んだ際に忘れずに記帳しましょう。
場合によってはさらに書類が必要となることもある
ここで紹介した書類は全ての形態の会社を設立する際に必要な書類となります。出資したものがお金ではなく土地や車だった場合には別の書類を提出する必要があったりと、設立の方法によってさらに必要となる書類が増えることもあるため、不明点があれば開業や起業に詳しい税理士に相談することをおすすめします。
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