土地の相続税の算出方法とは?軽減できる6つの特例も徹底解説!

相続

「土地の相続税はどのように算出するの?」

「相続税を軽減する特例はあるの?」

土地の相続を控えている人の中には、このように考えている人もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、土地の相続税の算出方法や税額を軽減する特例について解説します。土地の相続を控えている人にとって有益な情報を記載していますので、ぜひ最後までご覧ください。

土地の相続税を算出する流れとは

土地の相続税を算出する流れとは

土地の相続税をどのように算出するのか理解することは、節税対策を立てる上で欠かせません。ここでは基本的な計算方法などを解説します。順番に見ていきましょう。

遺産額の合計を算出する

相続税の計算をする際には、最初に遺産額の合計を算出します。遺産額の合計は、現預金や有価証券、ゴルフ会員権などの換金可能な財産に加え、国税庁の定める不動産評価額などの合計額です。

その後、債務や出費としての借金やローン、葬儀費用などを正味の遺産額から差し引き、相続人が実際に手にすることができる相続財産の額が算出されます。相続税は、この相続財産の額に対して課税されるため、正確な遺産額の算出が必要です。

基礎控除額を差し引く

遺産額の合計から基礎控除額を差し引くと課税遺産総額が算出されます。

基礎控除額は次のように計算されます。

3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

したがって、相続人が1人の場合は3,600万円、2人の場合は4,200万円が基礎控除額です。遺産額の合計金額がこれらの金額を下回る場合は、相続税は非課税となります。

ただし、遺産額の合計金額が基礎控除額を上回る場合には、課税遺産総額を法定相続分通りに取得したとみなして、各相続人ごとに分割します。

例えば、課税遺産総額が4,000万円で配偶者と2人の子どもで相続する場合は、法定相続分は次の通りです。

  • 配偶者:2,000万円
  • 子ども:1,000万円ずつ

このように、相続人ごとにそれぞれの法定相続分が確定し、その金額に応じて相続税が課税されます。

相続人が相続する財産に税率を掛ける

法定相続分通りに分割した課税遺産額に対して、相続税率を掛けることで相続税を算出します。

相続税率の速算表は以下の通りです。

先述した例の場合、配偶者の相続分は2,000万円なので、15%の税率を掛けた後に50万円の控除額を差し引きます。子どもたちの相続分は1,000万円ずつなので、それぞれの税率は10%です。

つまり、相続人それぞれの相続税は以下のようになります。

  • 配偶者:250万円
  • 子ども:100万円ずつ
  • 相続税合計:450万円

ただし、遺産分割協議によって分割割合が法定相続分と異なる場合には、その分割割合に応じて相続税を按分して納税します。税率は、各自の課税遺産総額に応じて掛けるもので、分割前の課税遺産総額である4,000万円に対して掛けるわけではないため注意が必要です。

正確な相続税の計算は複雑であるため、税理士などの専門家のアドバイスを仰ぐことが重要です。また、相続税の節税対策を検討する際にも税理士の助言が役立つでしょう。

土地の相続税評価額を算出する流れ

土地の相続税評価額を算出する流れ

相続税の計算の基礎となる土地の評価額をどのように算出するのか、具体的な手順を理解することが重要です。ここでは、土地の価格評価を行うための流れを詳しく説明します。

相続税評価額とは

不動産の中でも、建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じです。固定資産税評価額は、各自治体が土地や家屋などの固定資産の価値を定める固定資産評価基準に基づいて決定する価格のことです。

建物の場合、新築時の請負工事金額の約50~60%が目安とされますが、構造や築年数の経過によって評価額が変化します。固定資産税評価額は、毎年自治体から送付される納税通知書を確認するか、役所で固定資産税評価証明書を取得したり、固定資産課税台帳を閲覧することで確認できるでしょう。

そのため、土地の相続税評価額を算出する際には、土地の評価額と建物の評価額を別々に計算し、合算することになります。相続税評価額の算定は遺産の種類や金額、相続人の数などによって異なるため、専門家の助言を仰ぐことが重要です。

相続税評価額を正確に理解し、適切に計算することは相続税申告の際に重要なポイントです。専門家のアドバイスを受けながら、相続税評価額を適切に処理することで、節税対策や円滑な手続きを進めることができるでしょう。

更地の相続税評価額を算出するには

土地の相続税評価額は、以下の3つの方法で算出できます。

  • 路線価方式
  • 倍率方式
  • 概算値を算出する方法

それぞれ詳しく解説します。

路線価方式

路線価とは、道路ごとに定められた相続税評価額の目安であり、一般的に都市部や住宅地で採用されています。国税庁のサイトで1㎡あたりの単価を検索でき、土地の評価額を計算する際に使用します。

例えば、相続税路線価が「300C」と書かれていた場合、1㎡あたりの評価額は30万円です。この評価額に土地の面積を掛け、さらに補正率を適用して最終的な評価額を算出します。

補正率は、土地の形や間口の使いやすさなどを考慮して調整するものです。

例えば、土地の面積が150㎡であれば、土地の相続税評価額は以下のようになります。

  • 30万円×150㎡=4,500万円

路線価を使用して土地の評価額を算出する際には、正確な補正率や評価基準を理解することが重要です。相続税評価額の算定は複雑であり、専門家のアドバイスを仰ぐことで適切な評価が行えるでしょう。

倍率方式

倍率方式は、路線価が定められていないエリアで土地を評価する方法です。国税庁のサイトで市区町村ごとの評価倍率を調べることができます。

倍率方式では、土地の評価額は固定資産税評価額に倍率をかけることで算出されます。

具体的には以下の計算式です。

相続税評価額=固定資産税評価額×〇倍

ここでの「〇倍」は、市区町村や地目などによって異なります。倍率は土地の用途や位置、地域の特性などを考慮して定められるものであり、土地の評価に影響を与える重要な要素です。

倍率方式は、都市部から離れた田園地帯や山林などの土地によく使われます。これらの地域では市場価格が路線価によって定まりづらいため、その特性を反映するために倍率方式が採用されています。

概算値を算出する方法

土地の相続税評価額を概算で知りたい場合の方法を解説します。市区町村から送られてくる「固定資産税納税通知書(課税明細書)」に記載されている「固定資産税評価額」を用いることで、概算値を算出できます。

具体的には以下の通りです。

相続税評価額≒固定資産税評価額÷0.7×0.8

この方法は相続税評価額をざっくり概算するための手法であり、正確な評価額を知りたい場合には適していないため注意しましょう。

土地の相続税評価額を軽減できる特例を6つ紹介

土地の相続税評価額を軽減できる特例を6つ紹介

土地の相続税は、特例を活用することで評価額を軽減できます。ここでは土地の相続税評価額を軽減する6つの特例を解説します。これらの特例を知ることで、相続税の負担を軽減できる可能性があるため、各特例の内容をしっかりと理解しましょう。

配偶者の税額の軽減

配偶者が相続した財産が1億6,000万円未満、または法定相続分のうち多い金額まで、相続税から免除される特例があります。例えば、妻が夫から相続する遺産総額が5億円の場合、配偶者の法定相続分が2億5,000万円であるため、2億5,000万円が相続税から免除されます。

この特例は、配偶者の負担を軽減するために設けられており、配偶者は相続税を納税するために財産を売却せざるを得ない状況を回避できるでしょう。ただし、内縁関係にある場合はこの特例が適用されないため、内縁のパートナーの場合は注意が必要です。

障害者の税額控除

障害者が相続人の場合には、障害者や特別障害者、同居特別障害者の3つの区分に応じて異なる控除額が適用されます。

  • 障害者の場合:相続税控除額は27万円
  • 特別障害者の場合:相続税控除額は40万円
  • 同居特別障害者の場合:相続税控除額は75万円

上記のように、相続人が障害者である場合にその負担を軽減するために設けられており、相続税の計算から控除される金額が異なります。相続税における障害者控除は、障害者が相続財産を引き継ぐ際に負担を軽減し、社会的なサポートを提供するための重要な制度です。

障害者の権利を尊重し円滑な相続手続きを進めるためにも、このような控除を活用しましょう。

未成年者の税額控除

法定相続人が満20歳未満の未成年で、遺産を相続や遺贈した場合に相続税額から一定金額を控除する特例があります。

この特例は未成年控除額と呼ばれ、次の計算式で求められます。

未成年控除額=10万円×満18歳までの年数(遺贈の場合は満20歳)

相続税の納税は、未成年の相続人には経済的に負担がかかることが多いため、この控除によって負担を軽減できます。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、亡くなった人が居住していた土地を相続する場合に適用される制度で、相続税の軽減が期待できます。この特例は以下の4つの宅地に適用されます。

  • 特定事業用宅地等:400㎡まで80%減額
  • 特定同族会社事業用宅地等:400㎡まで80%減額
  • 貸付事業用宅地等:200㎡まで50%減額
  • 特定居住用宅地等:330㎡まで80%減額

特に特定居住用宅地等では、土地の相続税評価額が80%減額されます。ただし、特例を利用するための要件は、国税庁のホームページ「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」を確認しましょう。

被相続人が居住していた土地であることや、被相続人と生計をともにする親族が居住していた土地であることが条件の一部です。小規模宅地等の適用によって相続税が軽減されることで相続人の負担が軽減されるため、節税対策や特例の活用を検討しましょう。

特例の適用に関しては相続人や土地の状況によって異なるため、税理士のアドバイスを仰ぐことが大切です。

貸家建付地の評価

土地にアパートやマンションなどの賃貸住宅が建っている場合、更地に比べて相続税評価額が減額されます。さらに「小規模宅地等の特例」と併用することで、事業用の土地は200㎡まで50%減額される場合もあります。

具体的には、賃貸住宅が建っている場合、土地の相続税評価額は更地の場合と比べて約20%低く評価されます。賃貸住宅の敷地は「貸家建付地」として評価されるためです。

このような特例により、相続税評価額が大幅に低くなるため節税効果が期待できます。相続人は土地に賃貸住宅を建てることで、相続税評価額を軽減しながら収益を得ることができます。

土地の相続における5つのステップを紹介

土地の相続における5つのステップを紹介

相続が発生した場合、何から手をつけてよいのか迷う方も多いでしょう。しかし、進めるべき手続きを順序良く理解すれば、混乱せずスムーズに進められます。

ここでは、土地の相続における5つのステップを詳しく解説します。相続の全体像を把握し、手続きで困らないようにしておきましょう。

遺言書を確認する

遺言書が存在する場合、相続はその内容に基づいて行われます。遺言書には遺産分割の指示が含まれているため、遺言書に従って相続手続きが進められます。遺言書に基づいた相続手続きは、遺産分割協議書を作成する手間が省けるのがメリットです。

一方で、遺言書に従わない相続を希望する場合、法定相続人が相続を受けることになります。遺言による指示を受け入れないこともできますが、その場合は相続人全員で話し合いを行ない、遺産分割協議書を作成する必要があります。

遺言書の有無や相続に関する希望によって相続手続きの進め方が変わるため、まずは遺言書の有無を確認しましょう。

遺産分割協議を行う

遺言書が存在しない場合や遺言書の内容に従わない場合は、相続を確定するためには遺産分割協議が必要です。まず、相続人を特定し相続財産の全体を把握する必要があり、被相続人の戸籍謄本や財産目録の作成なども必要です。

遺産分割協議では、法定相続人が協議を行います。法定相続人とは、被相続人に対して特定の法律で定められた相続順位に基づいて相続する親族のことを指します。具体的には、配偶者や子どもなどが法定相続人です。

法定相続人で遺産分割協議を行い、その協議に基づいて合意内容をまとめた遺産分割協議書を作成する必要があります。この書類には、相続人全員による財産分配の取り決めや遺産分割の方法などが詳細に記載されます。

遺産分割協議書の作成は複雑であるため、税理士や弁護士、司法書士などの専門家に相談しましょう。遺産分割協議書は法的な効力を持ち、相続財産の分割が正式に確定します。

相続放棄を希望する場合は手続きをする

相続税を支払うことが難しい場合や相続を望まない場合、遺産分割の割合を変更するか相続放棄を選ぶことができます。相続放棄は、相続する権利を放棄することで相続税の支払いを免れる手段です。

遺産分割の割合を変更する場合は、遺産分割協議書を作成し、相続人間で財産の分配を再調整することができます。特に、相続する財産が借金や負債だけである場合には相続放棄の検討が重要です。

相続財産がマイナスの場合、相続人はその債務を相続することになるため、相続放棄を選択することで債務の負担を回避できます。

相続税の申告をする

土地の相続では、相続税の申告と相続登記が必要です。相続税の申告期限は相続した日から10ヶ月以内となるため、相続が発生したら余裕を持って手続きを進めることが大切です。

相続税の申告期限を守らないと、実際の相続税額に追徴課税が加算されることになります。申告が遅れると余分な税金が発生してしまうため注意しましょう。

相続の登記手続きをする

相続登記は、相続した土地の所有権を正式に名義変更する手続きです。具体的には、相続人が相続した土地を自分の名前に変更するために、法務局に相続登記の申請書類を提出することで行われます。

相続登記に期限はありませんが、相続した土地の所有権を正式に名義変更するためには早めの手続きが望ましいです。相続登記を行わないと、土地の所有者が正式に変更されないため、不動産取引や相続財産の処理がスムーズに進まない場合があります。

相続登記には手数料や印紙税などの費用がかかる場合があるため、申請前に必要な費用を把握しておくことが重要です。相続登記の手続きはご自身でも行なえますが、専門的な知識が必要で手続きも複雑であるため、税理士や弁護士、司法書士などの専門家に相談して正確に手続きを進めましょう。

まとめ

まとめ

本記事では、土地の相続税の算出方法や税額を軽減する特例について解説しました。相続税の算出方法や特例を理解し、賢く節税を図ることが重要です。

相続税の算出や相続の流れは複雑なため、税理士や司法書士など専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。

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