相続対策には、生前贈与や生命保険を利用する方法など、有効な方法がいくつかありますが、不動産小口化商品も相続対策の方法として注目を浴びています。しかし、相続対策を詳しく知っている方は少なく、不動産小口化商品が身近なものではない方も多いでしょう。そこで今回の記事では、不動産小口化商品を選択肢のひとつとして検討している方のために、不動産小口化商品の概要とメリット・デメリットを詳しく解説します。
不動産の相続対策についてお困りの方は、一度税理士に相談することをおすすめ致します。
不動産小口化商品とは
不動産小口化商品とは、字のとおり不動産を1口100万円といった形で小口化し販売する商品を指します。不動産から得られた収益や賃貸収入は、所有口数に応じて投資家に分配されます。不動産小口化商品は大きく分けて以下の3種類です。
- 賃貸委任契約型
- 匿名組合契約型
- 任意組合契約型
一般的に投資の対象となるのは、匿名組合契約型か任意組合契約型ですが、相続対策として効果が高いのは「任意組合契約型」となっているため、今回は任意組合契約型の概要を解説します。
任意組合契約型とは
任意組合契約型の商品は、事業者と出資した投資家たちが共同で事業主体となり事業を運営します。任意組合契約型の商品が、相続対策として効果が高い理由は、投資家が所有権を持つため、直接不動産を保有している時と同様の評価方法になるからです。不動産の相続税評価額は時価よりも低くなるため、相続財産の圧縮が可能です。賃貸物件の場合には、そこから更に評価額を下げられます。評価額が下がれば下がるほど、相続税も引き下がるため相続対策につながります。
不動産小口化商品のメリットとは
不動産小口化商品には以下のようなメリットがあります。
- プロが選んだ優良物件に投資できる
- 少額から投資できる
- 管理・運用の手間が省ける
それぞれのメリットを詳しく解説します。
プロが選んだ優良物件に投資できる
不動産小口化商品は、国土交通大臣もしくは都道府県知事の許可を得た事業者が取り扱える商品であり、不動産特定共同事業法という法律に基づいて運用されています。投資家の利益の保護を図ることを目的として制定されている法律のため、安心して投資できるような仕組みが作られています。先述したとおり、一定の条件をクリアし許可を得た信用度の高い事業者が物件を選定しているため、首都圏の一等地にある価値が上がりそうな物件や、安定した収益が見込める優良物件への投資が可能です。
少額から投資できる
首都圏の一等地にある不動産ともなると、数十億、数百億円の高額物件が多くなります。このような不動産を単独で取得するのは難しいですが、不動産小口化商品であれば、1口100万円といった少額から投資できます。そのため、通常の不動産投資よりも気軽に挑戦できるといえるでしょう。
管理・運用の手間が省ける
一般的な不動産投資は、家賃の回収や、メンテナンス、入居者の募集などさまざまな管理・運用業務が発生します。不動産を保有している間は継続的に発生する業務のため、意外と手間がかかります。しかし、不動産小口化商品の場合は、先述した事業者が管理・運用をおこなうため、面倒な業務が発生しません。だからこそ、不動産投資に時間をかけられない多忙な方や、細かい管理業務が苦手な方も始めやすくなっています。
不動産小口化商品のデメリットとは
不動産小口化商品にはメリットだけではなく、以下のようなデメリットもあります。
- 融資が受けられない
- 申込の倍率が高い
- 不動産の価値が下落する可能性がある
デメリットも理解した上で、総合的に判断することをおすすめします。
融資が受けられない
不動産を取得する際には、融資を受ける人が多いでしょう。しかし、不動産小口化商品は、単独ではなく共同で物件を所有するため、不動産を担保とする融資が受けられません。1口100万円程度となり、通常の不動産投資に比べれば低額ですが、数百万円程度は資金が必要になるため注意が必要です。相続対策のための投資であれば、気にしすぎる必要がない点も覚えておきましょう。
申込みの倍率が高い
不動産小口化商品は、先述したとおり国土交通大臣もしくは都道府県知事の許可を得た事業者しか取り扱うことができません。また、取り扱う物件も、利便性が良く収益性の高い優良物件が多くなっています。このような理由から、基本的に申込は先着順で、締め切り期間を待たずに募集が終了することも珍しくありません。遅れを取らないためにも、募集開始が予告された段階から準備を進めておく必要があります。
不動産の価値が下落する可能性がある
不動産小口化商品は、首都圏の一等地にある不動産が対象になることが多いため、価値が大きく下落するリスクは低いと考えられます。しかし、社会情勢や自然災害などをきっかけに不動産の価値が下がる可能性もあります。不動産である以上は、価値が下落する可能性もあることを視野に入れながら、運用していくことが大切です。
まとめ
相続対策のための不動産投資はハードルが高いイメージがありますが、不動産小口化商品を活用した資産運用は比較的ハードルが低くなっています。しかし、先述したとおり、不動産小口化商品は申込の倍率が高いためタイミングが重要です。もし、不動産小口化商品を活用した相続対策を検討している場合には、不動産会社や税理士などの専門家に相談しながら早めに情報を収集しておくと良いでしょう。
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