海外在住者の相続税申告チェックリスト!必要書類や手続きを徹底解説

相続

海外在住者にとって、日本の相続税申告は複雑で時間と労力がかかるでしょう。しかし、適切な対策を講じなければ、多額の追徴課税を受ける可能性もあります。本記事では、海外在住者の方がスムーズに相続税申告を完了するために必要な手続きや納税方法を解説します。

海外在住者で相続税申告が必要になるケース

申し立てが却下されるケースもある

海外在住者で相続税申告が必要になるケースには、以下のようなものが挙げられます。

  • 国内に財産がある場合
  • 移住後10年以内に相続が発生した場合

それぞれ説明します。

国内に財産がある場合

海外在住者であっても、日本国内に不動産や預貯金の財産を持っている場合は、相続税申告が必要です。具体的には、以下のような財産を保有している場合、申告義務が発生します。

不動産 土地、建物、家屋など
預貯金 銀行、ゆうちょ銀行、郵便局の預貯金
株式 日本国内に上場している会社の株式
債権 日本国内の企業や個人から発生する債権
その他 宝石、骨董品、自動車など

課税対象となる財産の合計額(課税遺産総額)は、以下の計算式で算出されます。

  • 課税遺産総額=取得財産の価額-債務などの金額+相続開始前3年以内の贈与財産の価額

課税遺産総額が基礎控除額を超える場合、超える部分に対して相続税が課税されます。詳細は、国税庁ホームページで確認してください。

移住後10年以内に相続が発生した場合

移住後10年以内に日本国内で相続が発生した場合、たとえ海外在住者であっても、相続税申告が必要です。具体的には、以下のいずれかに該当する場合、申告が必要です。

  • 被相続人が死亡した時点で日本国内に土地、建物、預貯金などの不動産や金融資産を保有していた場合
  • 被相続人が死亡する直前に日本国内の資産を贈与または遺贈していた場合
  • 被相続人が死亡する前に日本国内で事業を営んでいた場合

相続が発生した場合、移住前の資産状況だけではなく、移住後の資産状況も正確に把握し申告する必要があります。特に、以下の点には注意が必要です。

  • 海外で取得した資産は、日本国内の資産と同様に課税対象となる
  • 海外で納税した相続税は、日本での納税額から控除される
  • 申告漏れや納税不足があると、巨額の追徴課税を受ける可能性がある

移住後10年以内に相続が発生する可能性がある場合は、早めに対策を講じることが重要です。専門家への相談や国税庁ホームページを確認しておきましょう。

海外在住者の相続税申告手続き

配偶者控除のメリット

海外在住者が相続税申告をする場合、以下の点を事前に確認する必要があります。

  • 申告期限
  • 申告場所
  • 必要書類

それぞれ解説します。

申告期限

相続税の申告期限は、相続開始日から原則10ヶ月以内と決まっています。申告期限を過ぎると、以下のようなペナルティが課されます。

無申告加算税 申告漏れ税額に対して10%加算
延滞税 納税期限を過ぎてから納税するまでの日数に応じて毎日0.015%加算

海外在住者であっても、納税期限は原則として国内在住者と同じです。ただし、やむを得ない事情がある場合は、納税期限の延長を申請できる場合があります。時間的な制約が多い海外在住者にとって、期限内に手続きを完了させるのは容易ではありません。余裕を持ったスケジュールを組み、早めに準備を進めることが重要です。

申告場所

申告場所は、原則として被相続人の最後の住所地を管轄する税務署です。被相続人が海外に住んでいた場合は、相続人の居住地によって変わります。

相続人が国内に居住している

原則として、申告場所は相続人の住所地です。住所地を管轄する税務署がわからない場合は、以下の手順で確認できます。

住所地を管轄する税務署が表示されます。

相続人が海外在住

相続人全員が海外在住の場合は、納税管理人を定めて申告する必要があります。納税管理人は、相続税の申告・納税に関する一切の手続きを代行する役割を担い、日本国内に居住している必要があります。詳しくは、国税庁ホームページを確認しましょう。

必要書類

海外在住者の相続税申告には、国内在住者とは異なる書類が必要です。主な必要書類は以下のとおりです。

相続関係書類
  • 死亡診断書
  • 遺言書(ある場合)
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の戸籍謄本・抄本
  • 相続人全員の住民票・外国人登録証明書
財産に関する書類
  • 不動産登記簿謄本
  • 預金口座の残高証明書
  • 株式・債券の証券
  • 生命保険契約書
  • 貴金属・宝石などの評価証明書
その他
  • 納税管理人選任届出書(納税管理人を定めた場合)
  • 署名証明書(海外在住者による署名の場合)
  • 在留証明書(海外在住者による住民票の代替書類)

上記以外にも、状況によっては追加で書類が必要となる場合があります。詳細は、管轄の税務署へ事前に確認しましょう。

海外在住者の相続税納税方法

「みなし譲渡」とは

海外在住者であっても、日本国内にある資産を相続した場合、相続税の納税義務が発生する可能性があります。納税方法は大きく分けて以下の3つです。

日本国内の銀行口座への振り込み 日本国内に銀行口座がある場合は、その講座を利用して振り込めます。
納税管理人の選任 日本国内に住所がない場合は、納税管理人を選任し、手続きを代行してもらえます。
代理人による納税 日本国内に代理人となる人がいる場合は、納税を依頼できます。

いずれの方法を選択する場合でも、納税期限を過ぎてしまうと、延滞税が課されるため、注意が必要です。最適な方法は、資産状況や居住国、ご自身の状況によって異なります。自分自身で選択できない場合は、税理士のような専門家に相談してみましょう。

まとめ

海外在住者が相続税申告をする場合は、複雑な手続きが必要になる可能性があります。必要書類や申告場所を調べるだけでも一苦労です。迷ったときは国税庁のホームページで確認したり、管轄の税務署に相談したり、専門家のサポートを受けたりも必要です。スムーズな相続税申告のために、本記事の内容を参考にしてください。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP