役員借入金は資産?負債?相続前に必ずすべきことを解説

相続

被相続人が会社の役員をされていた方の場合、不動産を多く所有していたり、多数の自社株式を保有していたりして、相続資産の総額が多額になることがよく見受けられます。

しかしそこはさすが元経営者。やはりお金に対する意識が高く、財産の生前整理を依頼してくるお客様も多数いらっしゃいます。

ここでは、役員ならではの資産と負債である「役員借入金」「役員貸付金」と、相続の関係について解説します。このワードに心当たりのある方はぜひご一読いただき、財産の生前整理についてぜひ前向きに考えてみてください。

そもそも役員とは?

言葉は知っているけれど、意味はよくわからないという人は多いのではないでしょうか。

役員は、下記に該当する人のことをいいます。

  • 取締役:取締役会で会社の経営方針を決定し、重要な経営判断を行う。
  • 執行役:特殊な法人に限定されておかれる役員で、日常の業務執行を行う。
  • 会計参与:取締役と共同して計算書類を作成すること等を職務とする役員で、会計に関する専門家である税理士、または公認会計士に限られる。
  • 監査役:会社の業務が法令や定款に違反していないかを監視する、取締役会から独立した立場の役員。
  • 理事:公益法人等における代表者。
  • 監事:公益法人等における監査役。
  • 清算人:法人が解散をするときに、清算事務を遂行する者。
  • みなし役員:法人の経営上の重要事項の決定に参画していることを実質的に従事しているとみなされる者。

被相続人が役員だった場合、必ず「役員借入金」または「役員貸付金」がないかを確認してください。

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役員借入金とは

会社が「役員」から「借り入れ」た、「お金」ということで「役員借入金」といいます。これは会社の「負債」で、役員にとっては「資産」になります。

例えば、会社が急な投資資金が必要になり、銀行から融資を受けるまでの時間を待てない場合、役員が自分のポケットマネーから会社に貸し付けることがあります。

役員借入金を行うときには、普通の融資と同じように、適切な利息と返済計画を設定しなくてはいけません。

家族や親族が中心となって経営する同族会社では、オーナー社長から多額の役員借入金を借りたままになった財政状況の会社も珍しくありません。

役員借入金は相続の対象になります。

例えば、被相続人が3000万円を会社に貸し付けていたら、相続人は3000万円を会社から返してもらう権利を得ます。

役員借入金は多額になりやすいため、相続税もかなりの金額になります。役員貸付金をなくすための生前整理が必須です。

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役員借入金があるなら生前対策がマスト

正直、相続が発生してから節税することは難しいです。生前対策で役員借入金をなくすことを強くおすすめします。

やり方は主に4つありますが、会社の顧問税理士や会計士に相談するのがベストです。

1,資本金に振り替える

会社に貸し付けているお金を資本金に振り替える方法です。

2.役員報酬を減らし、減らした分を返済に当てる

役員報酬を減額し、その減額分を会社から役員への借入金返済に充てる方法です。役員報酬を減らすことで、所得税が軽減されます。

3.債権放棄する

役員が会社に対して有する貸付金の債権を放棄する方法です。

4.会社へ贈与する

役員が会社に対して貸し付けているお金を会社に贈与する方法です。年110万円を超えると贈与税が発生するため、非課税で贈与したいなら長期間の計画を立てなければなりません。

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もし役員借入金を相続してしまったら

原則として相続税が発生します。しかし、役員借入金は財政状態がよくなかったからこそ会社に貸し付けていたケースが多いです。会社が破綻状態にあるなら、法的整理を受けることで役員借入金が相続財産にならないと認められる可能性もあります。

役員貸付金も生前に返済することがマスト

会社が「役員」に「貸し付け」た「お金」ということで「役員貸付金」といいます。会社の「資産」であり、役員にとっては「負債」です。

主に個人的な理由で資金が必要になって、役員が会社からお金を貸してもらうことが多いです。役員借入金と同様、利息や返済計画を設定しなくてはなりません。

被相続人の負債に役員貸付金があった場合も、こちらも相続の対象になりますので、生前になるべく返済しておくことが望ましいです。

もし役員貸付金を相続してしまったら

例えば、被相続人が3000万円を会社から借りていたら、被相続人は3000万円の債務を負います。その返済義務が相続によって相続人の手に渡るのです。返済義務と一緒に会社に多額の利息を払う義務も相続するため、相続放棄、限定承認、債務免除が選択肢にあがってきます。

相続放棄

相続人が被相続人の財産や負債を一切受け継がないことです。相続の開始を知った日から3か月以内に手続きを行わなくてはいけません。

限定承認

相続はしますが、負債については相続した財産の範囲内でのみ責任を負うことを選択することです。相続財産を超える負債は支払う必要がありません。手続きが相続放棄に比べて複雑であり、費用が相続放棄が2〜3万円なのに対して限定承認は30〜100万円と高額になります。

債務免除

債権者(会社側)が債務者(相続人)に対して、負っている債務を免除することです。返済能力があるとみなされると贈与税が課される可能性があります。

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