不動産にかかる贈与税の求め方とは?課税方式や計算方法も解説!

不動産

「贈与」や「相続」は誰しもに起こりうる身近な話題です。実際に、所有している不動産を贈与と相続のどちらで対応すれば良いのか、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。贈与と相続は、財産を受け継ぐという意味では似ているかもしれませんが、特徴や納税金額の求め方も異なります。今回は贈与の概要と、贈与で不動産を受け継いだ場合の贈与税の求め方を解説します。贈与を理解できれば、贈与税の節税や、大切な財産を守ることにもつながるでしょう。

贈与税と相続税の違いとは

似たような場面で使われることが多い「贈与」と「相続」ですが、違いをしっかりと理解している方は少ないのではないでしょうか。それぞれの概要は以下のとおりです。

  • 贈与:財産を無償で与えたり、受け取ったりすることを贈与と言います。財産を与える方を贈与者、受け取る方を受贈者と呼びます。
  • 相続:親や祖父母など親族が亡くなった際に、財産の引き継ぎが発生することを相続と言います。亡くなった方を被相続人、財産を引き継ぐ方を相続人と呼びます。

贈与の場合は受贈者が財産を受け取った際に贈与税が発生し、相続の場合は相続人が財産を引き継いだ際に相続税が発生します

不動産の生前贈与と相続はどちらが得?メリットとデメリットを解説

不動産にかかる贈与税の求め方

贈与税は場合によっては、数千万円程度になることもあるため、実際にどのくらいの贈与税がかかるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、不動産にかかる贈与税の求め方を解説します。課税方式の違いによっては、贈与税の金額にも大きな差が発生するため、しっかりと確認しておきましょう。

不動産価額の求め方

価額を求める際には時価を用いるのが一般的ですが、土地や建物の場合は「相続税評価額」を用いて価額を算出します。土地と建物それぞれの、相続税評価額の求め方は以下のとおりです。

  • 土地:路線価が設定されている場合には路線価方式で、路線価が設定されていない場合には倍率方式で相続税評価額を求めます。路線価とは、道路に面している1㎡あたりの土地の価格を指します。詳しく知りたい方は、国税庁のホームページをご確認ください。
  • 建物:建物の評価額は固定資産税評価額と同じになります。固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書と共に同封されている課税明細書や、市区町村が管理している固定資産課税台帳などで確認できます。

マンションの評価額の求め方は、解説した求め方とは異なるため注意が必要です。

不動産贈与の課税方式

不動産贈与税の課税方式は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類に分かれます。どちらの方式を選ぶかは、受贈者によって自由に選択できます。贈与者ごとに課税方式を選択できるため、受け取る財産によって最適な課税方式を選ぶことが大切です。それぞれの課税方式を解説します。

不動産相続と借入金の関係とは?相続税対策から売却まで徹底解説!

暦年課税

暦年課税とは、1/1~12/31までの1年間に受け取った財産に適用される課税制度です。毎年110万円の基礎控除額が設定されているため、110万円を超えた分の財産に対して贈与税がかかる仕組みになっています。贈与税の税率は、特例税率と一般税率の2種類に分かれており、それぞれの概要は以下のとおりです。

  • 特例税率:贈与を受け取った年の1/1時点で受贈者が18歳以上であり、両親や祖父母などの直系尊属から財産を受け取った場合に適用。
  • 一般税率:特例税率に該当しないもの全てに適用。

特例税率の方が税率は低くなっており、同じ1,000万円の財産でも、税率が異なるだけで贈与税には54万円の差額が発生します。特例税率が適用される財産と、一般税率が適用される財産を同時に受け取った場合には、贈与税の求め方も変わるため注意しましょう。

相続時精算課税

相続時精算課税とは、合計2,500万円までの財産に関しては非課税になる制度です。非課税の枠を超えた財産に関しては、一律20%の税金をかけて贈与税を求めます。ただし、贈与者が亡くなった後は、相続時精算課税が適用された財産も相続税の課税対象になります。つまり、この制度は納税の義務を先送りにしたものであり、完全に免除する制度ではない点に注意しましょう。相続時精算課税制度の適用を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 受贈者:贈与を受けた年の1/1時点で18歳以上であり、贈与者の直系尊属である推定相続人もしくは孫である。
  • 贈与者:贈与をした年の1/1時点で60歳以上であり、受贈者の両親や祖父母である。

2024年の税制改正で、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が適用されることになり、計算方法も変更されているため注意が必要です。

不動産を贈与した場合の計算方法

以下の条件で、親が子どもへ土地と建物を贈与した場合を想定してみましょう。

  • 土地の相続税評価額:1,000万円
  • 建物の相続税評価額:2,000万円

暦年課税方式と相続時精算課税方式で算出される贈与税は、以下のとおりです。

  • 暦年課税方式で算出した場合の贈与税=(1,000万円+2,000万円-110万円)×45%-265万円=1035.5万円
  • 相続時精算課税方式で算出した場合の贈与税={(1,000万円+2,000万円-110万円)-2,500万円}×20%=78万円

課税方式の違いによって、贈与税には約950万円もの差が生まれます。これだけの差が発生すると、家計に与える影響力も大きくなるでしょう。そのため、課税方式を選択する際には慎重に検討することが大切です。

不動産オーナーが知るべき相続対策とは?節税のコツまで徹底解説!

まとめ

今回のシミュレーション結果では、相続時精算課税方式の方が贈与税は少なくなっているものの、どちらの課税方式を選んだら良いのかは状況によって異なります。しかし、贈与税を算出する方法も複雑化しており、自分だけでは不安や疑問を解決できないこともあるでしょう。その際には、税理士や不動産会社の方など、プロの方へ相談することをおすすめします。プロならではの視点で最適な選択肢へと導いてくれるでしょう。

不動産関連のご相談なら佐久間会計事務所にお任せください!

佐久間会計事務所では、不動産オーナー様のサポートに強みをもっています。不動産売却の案内や2次相続対策も含めた⽣前対策など、幅広いご相談に対応しております。

お客様としっかり面談させていただき、ご事情や景気、最新の税制にもとづいたアドバイスをさせていただきます。お気軽にお問い合わせくださいませ。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP