起業をする、もしくは経営を続けていくにあたり、銀行から融資を受けたいと考える人も多いのではないでしょうか。近年流行りのドラマにも、融資を受けるために奔走するといったシーンがあります。しかし、必ずしも融資が受けられるとは限りません。では、銀行はどのような指標を基にして、融資をするのかどうかを決めているのでしょうか。簡単に言うと、銀行が見ているのは「企業の健康状態」です。そして、企業の健康状態を知るために重要なのが「財務分析」です。そこで今回は、財務分析で抑えておくべきポイントを徹底解説します。財務分析のポイントを押さえておくと、融資を受けたいと考えた際にも焦らずに済むでしょう。
財務分析とは
財務分析とは、先述したとおり企業の健康状態を知るために必要なことです。つまり、企業の健康診断と言えるでしょう。健康診断をする時にも、身長体重を測って終わりというわけではなく、血圧を測ったり、視力を測ったりといくつかの項目に分けて健康状態を調べていくはずです。それと同様に、財務分析もいくつかの項目に分けて、企業の健康状態を調べます。そして、調べる項目の中でも押さえておくべきポイントは、以下の4つの項目です。
- 安全性
- 収益性
- 成長性
- 生産性
それぞれの項目の概要と、各項目の指標を1つ例に挙げて解説します。
安全性
安全性の項目で見ているのは、企業に支払い能力があるかどうか、倒産させずに安定的に経営を続けていく能力があるかどうかです。そして、安全性を見る上で大事になる指標には、以下のようなものがあります。
- 流動比率
- ギアリング比率
- 自己資本比率
今回は流動比率を解説します。流動比率を求める計算式は「流動資産÷流動負債×100%」です。流動資産とは、1年以内に現金として手に入る資産がどのくらいあるかどうかを指します。反対に、流動負債とは1年以内に支払わなければならない負債がどのくらいあるかどうかを指します。流動負債よりも、流動資産が多いほど、企業の安定性は高いと証明できるでしょう。
収益性
収益性の項目で見ているのは、企業に利益を確保する能力があるかどうかです。収益性を見る上でも、大事になる指標がいくつかありますが、代表的な指標は以下のとおりです。
- 売上高総利益率
- 売上高経常利益率
- 自己資本利益率
今回は売上高総利益率を解説します。売上高総利益率を求める計算式は「売上高総利益÷売上高×100%」です。売上高総利益は粗利とも呼ばれ、売上から売上原価を差し引いた金額を指します。売上原価とは、売れた商品を仕入れる際や、製造する際にかかった金額です。利益率が高いほど、収益性をアピールできます。
成長性
成長性の項目で見ているのは、企業がどのくらい成長しているのか、経営をより拡大していくための可能性を秘めているかどうかです。成長性を見る上で大事になる指標は、以下のとおりです。
- 売上高増加率
- 営業利益増加率
- 純資本増加率
今回は売上高増加率を解説します。売上高増加率を求める計算式は「(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100%」です。計算式のとおり、当期の売上高が前期の売上高に比べて、どのくらい伸びたのかどうかを確認できます。プラスであれば成長、マイナスであれば衰退しているということになります。
生産性
生産性の項目で見ているのは、企業の従業員や設備などを利用して、どのくらいの利益や成果を生み出せたかどうかです。生産性を見る上で大事になる指標は、以下のとおりです。
- 労働生産性
- 労働装備率
- 有形固定資産回転率
今回は労働生産性を解説します。労働生産性を求める計算式は「生産量÷労働者数」です。日本は少子高齢化が問題となっています。それに付随して起こっているのが生産年齢人口の減少です。2050年には5,275万人まで減少すると言われているため、そのような中で安定した利益を生むためにも生産性は大事な指標となっています。
金融機関による格付け評価とは?
健康診断をした後にも、各項目の結果を加味して、総合評価が通達されるのではないでしょうか。同様に融資を受ける際にも、財務分析を基に金融機関から格付け評価をされます。格付けの評価基準は、金融庁が定めた「債務者区分」を基本として以下の5段階で設定されています。
- 正常先
- 要注意先
- 破綻懸念先
- 実質破綻先
- 破綻先
融資を受ける際の条件が最も良いのは正常先です。先述した項目のうち、どれか一つの項目だけが良くても、良い条件で融資は受けられないでしょう。あくまでも総合評価となるため、全体のバランスが大事になります。
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本記事では、財務分析で押さえておくべきポイントを解説しました。人間の健康は1日では作れません。まずは自身の健康状態を知り、その上で日々の食事を意識したり、運動をしたり、良質な睡眠を取ったりと、バランスよく行動する必要があります。財務分析で重要となる項目も、1日では良くならないでしょう。だからこそ、日々の積み重ねが大事です。まずは企業の健康状態を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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