1,000万円を贈与したときの税金はいくら?生前贈与を解説

税務情報

贈与税や相続対策は、多くの方にとって気になる問題です。特に、相続税の基礎控除を大きく上回る資産をもっている方は生前贈与を検討することをおすすめします。本記事では、1,000万円の贈与にかかる贈与税額、生前贈与で活用できる制度・方法についてわかりやすくご紹介します。

1,000万円を贈与したら贈与税はいくらかかるのか

まず、1,000万円を贈与した場合にかかる贈与税額について確認してみましょう。

贈与税の基本的な計算方法と税率

贈与税は、贈与された財産に対して課税される税金で、年間110万円を超えた金額に対して課税されます。贈与税の計算では、超過分の金額が大きいほど税率が上がる累進税率が適用されます。

贈与税の税率は、贈与者と受贈者の関係性によって異なります。親や祖父母など直系尊属から20歳以上の子や孫に贈与される場合、「特例税率」が適用され、比較的低い税率が適用されます。

一方、それ以外の関係では「一般税率」が適用され、「特例税率」よりも税率が高くなります。

贈与税の具体的金額とは

では、1,000万円を一度に贈与した場合、具体的にどれくらいの贈与税がかかるのかを見てみましょう。

一般税率の場合

1,000万円−110万円(基礎控除)= 890万円(課税対象額)

890万円×40% (一般税率)-125万円(控除額) = 231万円

一般税率だと、贈与税は231万円です。

特例税率の場合

1,000万円−110万円(基礎控除)=890万円(課税対象額)

890万円×30%(特例税率)−90万円 (控除額)=177万円

特例税率だと、贈与税は177万円です。

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1,000万円の生前贈与を活用した相続対策とは

次に、1,000万円を生前贈与することで、どのように相続対策を進められるかについて考えてみましょう。

生前贈与のメリット・デメリット

生前贈与の最大のメリットは、将来の相続税を減らせることです。相続財産を生前に減らしておくことで、相続税の課税対象額を小さくすることができます。

また、生前に家族と話し合いながら贈与で財産を移転できるため、相続時も家族の間での遺産分割協議がスムーズに行えるというメリットもあります。

しかしデメリットもあります。贈与税は相続税に比べて税率が高いため、大きな金額を一度に贈与すると高額な税金が発生する可能性があります。

また相続時精算課税制度を利用しない限り、贈与税は毎年110万円を超えた分に課税されるため、受贈者は税金の負担がかかります。

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与が非課税となり、それを超える額に対して20%の税率が適用されます。ただし、相続時に贈与した財産が相続財産に加算されるため、贈与分が引かれた相続財産を受け取ることになります。

暦年贈与とは

暦年贈与は、毎年110万円までの非課税枠を活用し、長期的に少額ずつ贈与を行うことで、非課税で贈与する方法です。例えば、10年間にわたって毎年110万円以下の金額を贈与し続けると、総額1,000万円の贈与を非課税で行うことができます。

ただし、相続時清算課税制度と暦年贈与は併用できません。どちらかを活用して生前贈与を行う場合は、慎重に検討しましょう。

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生前贈与すると良い場合の注意点

贈与税のほうが相続税より税率が高く、控除額も少ないです。しかし、生前贈与をしておいたほうがよいケースがあります。

贈与と相続の税負担の比較

贈与と相続では、財産を移転する際にかかる税負担が異なります。子供や孫に1,000万円を贈与した場合、177万円の贈与税がかかります。一方、相続の場合は、基礎控除が適用されるため、相続財産の総額が基礎控除額を超えなければ相続税はかかりません。

基礎控除の計算式 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

しかし、相続財産が基礎控除を大きく超える場合は、生前贈与で相続財産を減らしておくことで、相続人が払う相続税の負担を軽減することができます。

生前贈与の注意点

生前贈与を行った場合、その贈与が贈与者死亡の日より7年以内のものであれば、相続財産に加算され、結果的に相続税が増加する恐れがあります。

そのため、長期間にわたって生前贈与を行う際には、早いうちから計画的に進めるべきです。

暦年贈与や相続時精算課税制度を活用する場合、贈与額やタイミングを慎重に考慮し、税負担を最小限に抑えるように計画を立てましょう。

また将来のトラブルを防ぐために贈与契約書を作成し、贈与が行われたことを証明できるようにしておくとよいです。

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まとめ

贈与税や生前贈与を活用した相続対策は、将来の税負担を軽減し、家族間の財産分配を円滑に進めるというメリットがあります。しかし、贈与には相続よりも高額な税負担が伴う可能性があるため、適切な計画と専門家のアドバイスが不可欠です。

暦年贈与や相続時精算課税制度の適用、贈与税の申告などといった手続きは、一般の人にとって手間がかかり難しく感じるかもしれません。

税理士に依頼すれば、生前贈与のアドバイスから申告までスムーズに進めることができます。また、事前に家族全員にも税理士に相談した内容を共有しておくことで、将来、家族が相続税申告を依頼するために税理士を探す手間が省けます。

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