起業して間もない時期は資金を援助してくれる知人がいなかったり、設立から2~3年経過するとさらに事業を拡大したいという気持ちがあるけれども資金が足りなかったりと、経営の資金繰りに悩みはつきものです。お金が足りなくなったときには、個人の場合ローンを組めますが、法人の場合も同様に銀行から融資を受けられます。今回は法人の銀行融資について解説します。
銀行融資とは?
銀行融資とは銀行から資金を借り入れることです。法人のみならず個人事業主でも借り入れができます。銀行融資は、分割による返済が可能であったり金利が低いことから、経営者や個人事業主から選ばれている資金調達方法です。しかし、そのようなメリットを期待できる反面で、融資を受ける際には銀行から「格付け」と呼ばれる評価があり、場合によっては融資を受けられないこともあります。
法人の銀行融資の種類は?
個人の場合には住宅ローンや教育ローン、カーローン、カードローンなどがありますが、法人の銀行融資は全部で6種類あります。なお、決算書の勘定科目では「借入金」に該当します。ではそれぞれ6種類について詳しく見ていきましょう。
ビジネスローン
ビジネスローンとは、個人事業主や法人を対象とした事業資金調達のためのローンです。保証人や担保を必要とせずに借入れができ、かつスピーディーに口座に振り込まれるため、直近で事業を展開したい場合に向いています。
信用保証協会の保証付き融資
信用保証協会の保証付き融資とは、銀行から融資を受ける際に信用保証協会が連帯保証人となる融資です。信用保証協会というのは、中小企業や小規模事業者の資金調達を支援する機関です。この融資方法は、返済が厳しい局面においては代わりに信用保証協会が支払いを行うといった利点がありますが、融資を受けるには企業への信頼度が重要となります。そのため、設立から日が浅い企業や過去に返済が滞った企業などは融資の対象となりづらいでしょう。
プロパー融資
プロパー融資では、銀行が企業へ直接融資します。この方法では、もし企業が返済できなくなってしまった場合に銀行が損失を被ることになります。新型コロナウイルス感染症下で多くの企業が倒産してしまったように、景気が悪化したタイミングなどでは中小企業は返済が厳しくなります。そのため、プロパー融資を受ける際には銀行の厳しい審査が入ります。
不動産担保融資
不動産担保融資では、土地や不動産を担保として銀行から融資を受けられます。審査にあたっては企業の支払い能力だけでなく、土地や不動産の価値もチェックされますが、借入れ可能な金額が大きいことより(数億円規模まで可能)大きな事業を展開したい場合に向いている銀行融資といえます。
売掛債権担保融資
売掛債権担保融資では、企業の売掛債権を担保として銀行から融資を受けられます。不動産や信用保証協会を保証としなくても融資を受けられるメリットがあるものの、売掛債権担保融資を受ける際には取引先への通知や承諾が必要となることがほとんどです。
銀行融資の流れとは?
銀行融資の種類でもお伝えしたように、銀行融資においては銀行の審査がある場合がほとんどです。そのため、あらかじめどのような目的で融資を受けるのか事業計画をはっきりさせておくことが大切です。また、融資を受けるにあたっては何点か書類を提出しなければなりません。
事前相談
スムーズな銀行融資を受けるには、まず銀行に事前相談することが大切です。銀行によって必要書類や情報が変わります。また、金利も銀行によって異なります。ご自身にとってベストな銀行融資であるか相談しながらじっくり吟味しましょう。
書類提出〜審査
事前相談にてどの銀行でどのような融資を受けるか決まったら、次に必要書類を作成して銀行に提出します。代表的な書類としては、事業計画書、貸借対照表、損益計算書、資金繰り表、本人確認書類です。提出後、銀行融資の審査が始まります。
銀行はこれらの資料をもとに企業の安全性や収益性、成長性、債務返済能力を確認するだけでなく、経営者の人柄なども審査対象として格付けをしています。そのため、入念な書類作成が必要です。
契約
銀行融資の審査が通った場合には契約となり、契約書の内容に不備がなければ融資を受けられます。銀行融資の申し込みから契約まではおよそ2週間ほどかかるため、融資を受けるときは期間に余裕をもって行いましょう。
銀行融資で気を付けたいポイント
必要以上の借金をしてはいけないというのは個人の場合だけでなく、法人にも言えることです。法人の場合は個人と比べて大きい金額の融資が受けられるので、数億円規模と借入れ可能な金額が増えるのは間違いありません。しかしながら、銀行融資を受けるにあたっては、銀行の審査が通るような明確な事業計画や返済能力を示すための決算書の作成が必要です。そして、融資を受けられたとしても返済に充てる資金の捻出を考えることも大切です。
スケール感において個人と法人の財布は全く異なるものです。個人の場合は自己責任で終わりますが、法人では従業員や取引先まで影響を及ぼします。「本当に必要な資金かどうか?」をじっくり検討してから銀行融資を受けましょう。
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